第372話「後ろは見えない」
人為的とはいえ雨の影響はこの辺りにも及んでいたのは、湿った草木と水たまりから窺い知れる。
スペラは最短ルートを行ったととするならば木の幹から岩の上など、苔の生していることを鑑みるならば圧倒的に足場が悪いと容易に想像できる。
ところどころ真新しい足跡の痕跡を見つけていたが、そのいずれも傷跡という表現がしっくりくるほど強い衝撃を受けていた。
隠密行動をしているわけではないのだから痕を気にする必要がない。
それを知ってか知らずか配慮というものがまるでなっていない。
そこでディアナが気にしていたのは必ずしも人間のみに痕跡というものを感じ取る能力があるということではない事だ。
狩人というのは獲物の痕跡を追う事に関して言えば人をも越える。
スペラは自ら囮となってあらゆる生物をまとめて引き寄せることを選んだのだ。
それは獣の本能をもわが手に、ジョーカーとして切れるカードにしているという事。
超直観のようなものは意図的に使いこなせればこれと無い武器になる。
それでもディアナはスペラの思惑などどうでもよかった。
結果だけを求めるならば。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます