第366話「成層圏、そして」

 そこからは早かった。

 茂みから次は誰が行くか順番でも窺っていたかのようにたじろいでいた獣たちが一斉にスペラに飛び掛かる。

 その数、数百。

 

 しかし、そこに二度目の雷が落ちる。

 予期せぬ幸運と言えるのか、はたまた何者かの助成だったのかスペラの魔力は枯渇している現状では外的要因以外の何物でもない。

 

 無残にも消し炭となり最早原型も留める事もなくなったものの中心で茫然と立ち尽くす猫耳少女。

 見上げた夜空にはいくつものまばゆい星々。

 その一つがひときわ煌いたような気がした。


 その星がどれだったのかなどすぐにわからなくなってしまった。

 なぜならそれは星などではなかったのだから。

 スペラの視力でもそれが何か判別のつかないはるか上空からの電撃の強襲。


 スペラと獣の攻防を見ていたものが確かにいた。

 それをはるか成層圏からの視線だったにも関わらず、スペラは感じ取り尚且つ結果として利用することになったのだ。

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