第316話「その絵、誰の絵?」

「アマト? どうするの。助けてもらったわけだから頼みを聞いてあげてもいいとは思うけど、すぐに返事しないってことは何かあるんでしょ?」


 俺にだけ聞こえる程小声でユイナは耳元で言う。


「そう言えば嬢ちゃんさ、あの絵について聞きたいって言ってたが、おらもよくさわからんが。なんてったって夢でみただけだが。聞かれても答えようがないが」


「そうですか……。無粋でしたね」


 ディアナは納得なんてしていない。

 俺はそう思った。

 

(無粋?)


 そもそも、俺も同じように思ったのだからそう感じても何らおかしくはない。

 野暮なことなどとは思わないが、何か隠していると思っていたほうがいい。

 理由がわかってからどんでん返しを喰らわなければ、今は良しとする。


 いずれは聞き出すがな。

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