第279話「地形の有利」
刀を無造作に振るえば周囲の樹木に阻まれ、標的を一撃で屠ることは出来ない。
手数が増えるという事は反撃の機会を与える事になり、追い詰められた者ほど何をしでかすかわからなくなる。
気が付けば胴体を真っ二つにしたヴォーウルフが最後の力を振り絞って俺の死角となった足首に噛みついていた。
こいつに噛みつかれるのも初めてではない。
牙が食い込みじわじわと痛むが我慢できないほどではない。
冷静にガルファールを獣の頭めがけて突き刺し、最後の抵抗をここで終わらせてやる。
血がにじみ出ているが傷は徐々に塞がり、牙の痕は無くなっていきどこを噛まれたかも視認できないほど綺麗になった。
本来なら傷が塞がるまでに消毒をしなければならないところなのだが、自然回復には状態異常をも回復させる効果もあり猛毒でもなければ手当の必要のない。
どの程度が猛毒なのかは定かではないものの狂竜との戦いでも耐えられたのだから、ランク付けすれば上位であるのは最早疑う余地はない。
しかし、結局のところそれは個人としての能力でありパーティーで行動する以上はあてにはならない。
残りのヴォーウルフを全て片づけるためにかかった時間はおよそ一分と、時間をかけてしまった。
力を込めて樹木ごと切り倒せば、それが障害になり行動を制限されるため主に突くことに重きをおいて攻撃することにしたのだが、それでもガルファールの長さは想像以上に行動を制限した。
相対したのがヴォーウルフでよかったと安堵するのだった。
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