第256話「食物連鎖」

 スペラが木の窪みに隠れている兎を引っ張り出して、ためらう事もなく息の根を止める。

 その手際の良さはみていて感心する他ないのだが、その光景はスーパーで加工された後の状態でしか見た事のないユイナには少々刺激が強かった。


「どうしたのにゃ? ユーニャ」


「仕方がないことだってわかってるつもりだけど、見てられなくて」


「ボクもちょっと苦手かな。特に最近は死を身近に感じるようになったからかな」


「にゃ? よくわからないにゃ。殺さないとミャー達が死んじゃうにゃ」


「そ……そうね。私もしっかりしないと」


 この世界の人間全てが殺生に抵抗がないかと言われれば、そのようなことはない。

 スペラが特別淡泊だという事だ。

 それでもこの数日で大きく変化があったというのだから驚きである。


 

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