第240話「嫉妬と感情」

 人としての感情というものは動物にはない固有の者である。

 今いる世界には知的生命体が人間だけではないのだから、この表現自体は正しいかはわからない。

 

「スペラ、これは俺が貸したんだ。まともに着れる物が見つかるまでの辛抱だ」


「でもにゃー」


 スペラはなかなか納得しない。それを見かねて声をかけたのはディアナだ。


「あんまり無理をいうと嫌われちゃうわよ」


「わかったにゃ」


「早くいくぞ。こんなところで時間を無駄にしている暇なんてないんだ」


「ア、アマト君。ごめん……こんな感情初めてで、なんて表現していいのかわからないけど身体が熱を帯びる感じかな? こみ上げてきたんだ」


「その感情……。忘れるなよ。でないとスペラみたいになるからな」


「ひどいにゃ~」


「自業自得でしょ」


 座り込んだルナをゆっくりと立ち上げらせ、手を引き歩き出す。

  


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