第221話「家も建てられるというのなら……」
「では……このままどこまで行けば迂回できるかもわからない以上、進み続けるのはまずいか。海まで行けば陸よりも安全かと思って……はいなかったが、やっぱりいるよな。それに海からモンスターが陸に上がってこないこともないだろうし、挟撃される事になれば地形で不利な分対応も……」
どうにも煮え切らない。
「私、疲れちゃってもう限界みたい。できればこの辺んで休憩できないかな」
「ボクも夜は戦闘を戦闘を控えたほうがいいと思うよ。ボクもアマト君も今のこの世界では完全に適応できてないのは身体を動かしてみてわかってる。ってことは慣れるまでは無理はしない方がいいってこと。常にいろいろ考えてるのはわかるけど時には直感で足を止めるのもありじゃないかな」
「しかし、ここは何もない草原の真ん中だぜ。野営するするにしても何も……。そうか、何も無いというのならば作ればいい……それなら」
俺は先刻の戦いで土の魔法を行使したが、何も戦闘にのみ魔法を使わなければならないわけではない。
ユイナにも気を使わせてしまった。
結局いつも後押しされて肩の荷を軽くしてもらっている。
このあたりで多少なりとも格好のいいところを見せておきたいところでもある。
俺の腕に周囲のマナが集まるのに時はいらない。
ユイナは俺が何をするのか言うまでもなく呼応したかのように、周囲のマナを俺に集めた。
それを確信していたからこその秘術。
「イメージ通りにやるさ……。クリエイト」
地面に両手を当てマナを流し込むと、村の診療所の診察室がベッドを含め土で完全再現されて出現した。 火の魔法により焼き上げた土の強度は一晩の仮の宿にしては十分すぎる。
日本の伝統的な瓦も数十年の耐久年数があるのだから、それに準するだろう。
ベッドに関しては単純な直方体の頑丈な土の塊の表面に窪みを設け、目の細かい砂を敷き詰めることで砂風呂のようにすることで横になった時の身体にかかる負担を軽減するようにした。
熱を加えた事で砂も暖かく草原に横になって寝るよりも断然快適なのは間違いない。
魔力の絶対値がまだまだ少ない俺では建物一つ作ることなど出来はしなかった。
それに複合的に火の魔法も組み合わせるなど思いついてはいても魔力の足りていない為に実行できなかった。
それに人数分のベッドを用意できたのは幸いだ。
ユイナによってマナを集めてもらわなかったらこうもうまくはいかなかったのだから感謝の念を抱かざる負えない。
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