第190話「天使と悪魔は紙一重」

 俺は眠っていたのだろうか。

 目を開くとルナと目が合った。

 気恥ずかしい気持ちと現状を把握しなければいけないという意識が混在して動くことができない。


 何か柔らかい物を枕にしているのだと思う事が精いっぱいだった。

 それがルナにひざまくらをされているのだと理解するのは容易いはずなのに、素直に受け入れられない。

 それを認めてしまえば恥ずかしさでおかしくなりそうだった。


 たかがひざまくら、されどひざまくら。

 恐らく何度経験しても慣れることなど無いのではないだろうか。

 などと考えているとルナは口を開いた。


「よかった」


 満面の笑みで一言呟く少女はやはり悪魔なのだと思った。

 不覚にも可愛いと思ってしまったのだから。

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