第163話「踵を返せば」

 アマトは空が晴れ渡るのを見た。

 村の南端は中心部に比べれば比較的雨は強くない。それでも数メートル先が見通せない程なのは中心部と変わりはない。

 幸い足首辺りまでしか水は溜まっておらず、移動する分には差し支えはなかった。


 村があった方角は最早何もない更地のような状態にになってしまっているのをみて危機感を覚えた。

 誰かがこちらを窺っているのはわかっているのだが、今はそれどころではない。

 まずは仲間の救援へと向かわなければならないと思った。


 一番安全だと思っていた場所が今では最も危険な場所になってしまったのは、完全に自分の判断ミスである。

 安全な場所などどこにもない。


 今できることは一刻も早くもスペラ達の元へと向かう事。

 

「みんな無事でいてくれ」


 

 


 

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