第133話「違和感」
限りある時間の中でやれることはそう多くない。
ルナは谷の方へ、ユイナは村の東へと向かった。
俺は西へは行かず、もと来た南側へと向かうことにした。
ここに来るまでの間に見落としがないかという事と、敵の侵入があった方角だという事が決め手となった。
谷の出現によって南北を分ける形となったにもかかわらず、俺達を狙ってくる組織の存在があるのだから次がないとは限らない。
そのポイントは押さたうえで考えたら必然的に俺が向かう先はここしかなかった。
手当たり次第に民家を漁るような真似はするつもりはなかった。この国の金銭のレートを確認するのならば商店に行くしかない。
村の広さは左程広くはないとはいえ、店が全くないわけではなく青果店などは複数あるのが見受けられた。
値札と商品がそのままの状態であることが幸いし、労せずして価格相場は頭に入れることができた。
しかし、何かが気になる。
現状ではこの商品のラインナップと価格を把握するだけでそれ以上の情報は特に必要としていない。もちろん知りすぎて困ることなどないのだから知りえる情報は大いに越したことはない。
それでも何か不思議な違和感を覚えた。
そんな煮え切ることのない感情を抱きつつも、情報集めに錯綜する。
着々と得られる情報と知識。できることならば村の人に直接情勢を聞きたいところだが今はもう叶わない。
こうして無機質な散策は続けられることとなった。
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