第92話「幕間Ⅵ」

 数十名の幹部を束ねる女性は不敵な笑みを浮かべていた。

 幹部の下にも計り知れない程の工作員が世界に蔓延り闇から人々を支配しようと暗躍しているのだからその規模は相当なものだ。


「まったく厄介なことになったものね。それもあなたが遊んでいるのがいけないのよ」


 そう言って声をかけたのは最も古い悪魔の一人で旧知の中でもある男だ。


「あいつが向う側についた方がおもしろいだろ? もともと俺達とあいつは馬が合わなかったしな。ちょうどいい」


「楽しめればそれでいいけど、あのこは天秤にかけるには重すぎるのよ」


「やれやれ」


 男は妖艶な悪魔にはついていけないという風を装っていた。

 だますのが最も得意なのだから。

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