第85話「幕間Ⅴ」

 洋風の城の天守閣から外を眺める少女。

 その儚げな姿を数百万という数の兵士たちがただただ見つめている。

 兵士たちはフルフェイスにフルプレートで身を包んでいる為、どのような容姿をしているのかは傍から見たのではわからない。


 その大軍を少女は眺めているわけではない。

 その昔、少女が退屈を紛らわせるために唯一無二の親友を旅へと送り出していた。退屈な人生をただただ生きていくだけの自分と同じ人生を生きていかなければならないことに不憫に思ったのだ。


 結局、自分一人だけで留まることになった。

 城を取り囲む大軍はかつてこの城で自分の為に戦ってきた者達だ。

 今はその命尽きても魂は少女の元へととどまり続け、外敵からの侵入を防いでいる。


「ディアナ……あなたは見つけたのね」


 少女の見かけはしていても数千年の歴史にその牙をもって軌跡を描いて来た。その長い人生のなかで何を思うのか。

 ただ、親友の帰還を待つ日々は続く。

 

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