第3話 消滅

この世界は少し前から突然に色々なモノが消えてしまう。それは“消滅”と呼ばれる現象だ。


最初は特定の期間の歴史を書いた本だった。

当時出版された本から、当時のことが書かれた歴史の教科書のページまで忽然と消えてしまったそうだ。


それから時折“消滅”が起きた。


人々が最も混乱した“消滅”として語り継がれているのが鉄道の消滅。


私としては信じられないが、かつて人々は鉄の道を二本引いてその上に大きな車を幾つも繋げたものを乗せて、大人数で移動していたらしい。


飛行船のように空を走る鉄道や地下を走る鉄道もあったという。


地下を走る鉄道があった証拠として機械化都市の地下には広大で無計画に作ったとしか思えないトンネル群がある。しかし鉄道を地下や空中にまで張り巡らす必要があった理由は謎であり、アトラクション説やシェルター説などがある。


詳しいことは人の記憶にしか残っていないから具体的な形も想像できないが、鉄の道があちこちに張り巡らされていたら邪魔ではないだろうか。それに車のように好きな道を進めないのは窮屈ではないのか。当時の人間の考えはよくわからない。


その他にも消滅で地層が無くなってしまって山の高さが変わったとか、博物館に展示されていた化石が忽然と消えてしまったとか。


人々の記憶には残っているのに、証拠が消えてしまう。それが“消滅”。


原因は全くもって不明で、科学技術や自然科学、そして歴史に大きな打撃をあたえる新しい災害。


その対策として最初に生まれたのが第一歴史保護区の臥木だった。

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