第2話 今の私

首都の機械化都市。

科学や医療の最先端技術があちこちで試され、売られ、買われていく場所だ。


私は、そんな都市では珍しい子だった。

都市では体外受精で出来た子をbeakerと呼ばれる全自動の保育器で希望の年齢まで育てられるのが主流で、遺伝子を操作するデザイナーズチャイルドが私が生まれた頃の流行りらしい。


私は普通に何の操作も受けず、母から生まれてきた。だから、他の子と比べて見た目も普通だし能力も普通だし走るのは母に似て少し遅い。


母のお腹の中にいた時から私は口々に「可哀想」と言われ続けた。


それでも母は私を産んだ。

それが本当は自然なことなのだと私に繰り返し母は説く。100%親が希望したものと違いなく産まれてくるなんて言うのは異常だと。


それでも私はずっと劣等感に苛まれていた。

それは両親のせいでもある。


まず、私の父は機械化都市でも有名な学者だ。“二百年前”の万能細胞について研究し、色々な賞を貰っている。


母は絵本作家だが、“無くなった”物語を世界中の口伝からかき集め作り直している。そのため世界中から評価されている、らしい。


そんな二人の子なのだから操作をすれば天才的な子どもが出来るだろう。と周りの人間に再三言われ、そして今も言われ続けている。


私は失敗作だと。今からでも遅くない、もう1人造ってはどうだと。


それもそうだ、私には物語を創る能力も天才的な頭脳もない。何も取り柄のない失敗作。


失敗作、出来損ないと謗られ続けた私にとって、臥木は理想郷だった。

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