第9784062話

「沙羅魅、何踊ってんだよ?」

「恥ダンスだよ♪」

「おめぇこの前『逃げ恥』を『逃げ恋』って言ってたから、バランス取るためにわざと言ってんのか?」

「ちょっと変なこと言わないでよ~」

「本当のことだろ」

「じゃあ、早速公ちゃんも一緒に踊ってみよ〜♪」

「は? なんでだよ?」

「だって、恥は道連れ世は情けって言うでしょ」

「それを言うなら旅な」

「そうそう。つまり、旅の恥はかき捨てってことでしょ!」

「まぁ、詰まる所そうなるな」

「ほら一緒に~♪」

「めんどくせぇな~」


「2人から~から行くよ~」

「はいはい、どうぞ」


「はい! 2、1、4から手は右、下、左で顔は右、下、前!」

「速ぇな」

「そして、手をパタパタでうさぎ耳!」

「結構速ぇな!」

「腰回しながら指閉じていってからの鳩時計!」

「マジ速ぇな!」

「いないないばー、いないないばー、右左で前を指差して思い出して♪」

「すげぇな」

「前方確認クロールから丸め込んでポッキーダンス!」

「ポッキー?」

「ウエイトレス胸トントン、指の曲がり♪ 頬の香り♪」

「やべぇ、まったく覚えらんねぇ」

「ぐるとカニポッキー、向き合ってぐるっとカニポッキー、最後は 正面でカニポッキー♪」

「ずいぶんカニポッキー推しだな」


「はい! とりあえずここまでできたら公ちゃんはいいんじゃない?」

「いやいや、こんなん無理と書いてマジ無理だし!」

「なにそれ~、無理無理ってことじゃ~ん。踊るアホウに見るアホウだから一緒に踊ろうよ~」

「アホとか言うなよ」

「なんで~? 一緒にやろ~よ~」

「無理だし、オレおめぇの説明じゃ覚えられそうにねぇし」

「しょうがないな。それなら公ちゃんにガッキー役をやらせてあげるから〜」

「別にガッキー役やっても嬉しくねぇし! てか、みんな同じ踊んだろ?」

「じゃあ、溝端淳平くん役やらせてあげるから~」

「だから、やんねぇし!」

「もう~、そこ違うでしょ~! 淳平くんは出てないって言わなきゃダメでしょ~!」

「そんなん知るかよ! てか、どっから溝淳が出てくんだよ!」

「エンディングで踊る繋がりだよ!」

「いやいや、まったくわかんねぇし! おめぇなんか間違ってんじゃねぇのか?」

「間違いじゃないよ! 同じコトを結局はしてるの! 形変えて!」

「わかんねぇし」

「起こせミラクルだよ! だから、にわかはダメなんだよ~」

「なんか今日のおめぇいつも以上にムカつくな」

「じゃあ、踊ろ♪」

「てか、飯にしようぜ」

「え~! ご飯って言われちゃ沙羅魅断れないじゃん! 何食べる?」

「おめぇの好きなのでいいぜ」

「やったー! ポッキー食べたい!」

「は? 夕飯にお菓子かよ?」

「違うよ。前菜だよ〜」

「じゃ、主菜はなんだよ?」

「もちろんチョコフォンデュだよ♪」

「それいきなりデザートじゃん!」

「ちがうよ。チョコのフルコースだよ♪」

「てか、なんでチョコづくしだよ?」

「だって、チョコレートディスコははずせないでしょ?」

「わけわかんねぇ。たまにはバランスの取れる夕食にしようぜ」

「しょうがないな〜」

「で、なんにする?」

「チョコ味のカロリーメイトにしとく」

「そうそう、オレが言いたいのはそういうことだよ!」

「うん。これでソリューションしたね♪」

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