夢追い人は夢も恋も捨てられない

作者 秋保千代子

97

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★★★ Excellent!!!

 大正浪漫和風ファンタジーのカテゴリとして、実に王道、かつ、きめ細やかな描写を楽しめる作品だ。

 特に、色彩と服飾。ここは一線を画す。

 そこに、キャラクターの情動の対比と、ストーリーラインの起伏を乗せることに成功している点は、特筆に値するだろう。
 主人公の成長と恋心は、そこに色を添え、また、その花を手折るように人間関係の交錯と捻れが展開する。

 詳しくはないが、いわゆる乙女ゲーと称されるような世界観を味わったのではないだろうか。そのテの恋愛シミュレーションゲームが好きな方にも、実にオススメである。
 勿論、性別問わず読者にオススメはしておこう。

 作品のタイトル回収も、なるほど、そうきたかと納得のカタルシス。
 そこから完結までは、苦も無く一気読みだ。

 さて。
 自分が読み手としては面倒くさい人種だとは、理解している。
 何か読もうと思っても、なかなか手を付けられない作品があるし、1文字でも目にしてしまえば、勢いで最後までいけてしまうときもある。

 この作品には、読み続けた時期もあれば、間を置いてしまった時期もあるが、不思議とまた途中から入り込みやすい敷居があった。
 文字数やジャンルといった垣根を越えた取っつきやすさというものは、作者様の筆力の安心感、という他ない。

 正直に申せば。
 前半と後半において、ハッキリとクオリティの差が感じられる。当然、後半はポジティブな印象だ。
 長期に渡る連載と弊害とも、その間に置ける作者様の萌芽から開花への成長の証とも取れる。

 他の長編作品を読ませてもらい、またレビューを書かせてもらった経験も踏まえて言えば。
 それでも、ストーリーとして、この作品が一番好きだ、と書かずにはいられない。


 

★★★ Excellent!!!

花を芽吹かせ咲かせる力。そんな一見すると無力な力しか持ち合わせず、自信のなかった主人公、倖奈。けれどそんな彼女の力を見出し、彼女なりの戦い方へと導いてくれた堅物の軍人殿がいた。

大正情緒あふれる世界に、雅な着物の袖が舞い、軍靴が勇ましく鳴り響く。

弱かった乙女が、恋を知り、友とぶつかり、強く美しく成長していく様が読み応え抜群の本作品。堅物の軍人殿に甘やかされたい人、大正ファッションに酔いしれたい人、そんな方々にもオススメです!

★★★ Excellent!!!

 人と魔物の戦いが続く世界。
 都には魔物を祓う力を持つ「かんなぎ」と軍人が集められ、人々の暮らしを守っていた。

 倖奈はかんなぎの一人だが、攻撃的な力ではなく「花を咲かせる」という異能の持ち主。
 彼女は軍人である史琉に恋心を抱いている。
 彼らや周りの人々の生きざま、恋の行方、魔物との戦い。どれも目が離せない。

 また、美味しい甘味とあでやかな着物、華やかな洋装、少女たちを飾り立てる大正浪漫あふれる世界も作品の大きな魅力だ。
 細かく作りこまれた世界もぜひ堪能していただきたい。

★★★ Excellent!!!

架空の国(パラレルワールドみたいな日本)を舞台とした、壮大な物語。

世界観のつくりこみがとにかく丁寧で、じっくりと読ませます。かなり骨太な物語(まだ連載中!)なので、時間のあるときに、ゆっくり読まれることを、おすすめします。

とりあえず冒頭を読んでみてください。この世界観にはまったら、新たな楽しみが一つ増えると思いますよ。

★★★ Excellent!!!

 本当はもう少しお話が進んでからレビューしようと思っていたのですが、大好きすぎて「とにかく皆に読んで欲しい!」とどうにも耐えきれなくなり、愛を叫びに来ました。

 大正浪漫、和風ファンタジー、着物に袴……。
 そういった単語でぴくりと反応した方は、まず間違いなくこの作品を読んだ方がいいです。でないと後悔します。
 舞台を彩る小道具は細部まで描かれ、文章の端々から滲み出る作り込まれた世界観は否応なしに読者を大正浪漫の物語の中へ誘います。

 展開されていくのは、魔物と人間ーー軍人とかんなぎによる戦い……ですが、そちらは元より見逃せないのが彼らの生き様と人間関係。
 戦いの中で運命的に出会った史琉、新人兵の颯太、呉服屋の真希といった魅力的なキャラクターたちが、とにかくこの世界の中で生き生きと暮らしているのがたまらなく愛しい。
 主人公・倖奈との関係性が今後どうなっていくか、楽しみでたまりません。いいなあ。


 乙女はか弱くて、けれどもとても強いもの。夢も、恋も、きっと諦めない……!
 そんな倖奈の健気な奮闘ぶりに、気付けば貴方も虜になり、続きが待ち遠しくて仕方なくなっているはず。

★★★ Excellent!!!

 魔物の跳梁跋扈する、近代化した日本、皇都。
 『かんなぎ』と呼ばれる異能を持つ者たちが魔物を狩り、なんとかその秩序と治安を守っていた。

 この作品のヒロインは『かんなぎ』でありながら『花を咲かせる』という
直接的な戦闘力を持たない自他ともに認める足手まといだった。
 そんな中、ヒロインはこわもての男に出会う。その相手についていこうと思うヒロイン。果たしてその行く末は。

 服飾など、歴史的考察と少女の心の変遷が光る大正風バトルラブコメ。
 背伸びした少女が手に入れるものは果たして。

★★★ Excellent!!!

架空の日本を想定した、大正浪漫アクション活劇。

元禄218年、なんていう暦が普通に出て来るので、さり気なく別世界っぽい情報を伝える手管もこなれたものです。

人里に現れる魔物を退治して回る軍隊と、魔物を祓う『かんなぎ』の共同戦線を描きつつ、そこで出会った一人の軍人と、若きかんなぎの淡い恋路を、艶やかに綴っています。

かんなぎでありながら実戦能力に欠け、無能扱いされるヒロイン倖奈ちゃんが、小さくておっちょこちょいで可愛いです。頻繁に目を瞬かせるのは癖なのでしょう。せめて大人に見られようとして服装に気を使うところなんて、あーこれ角川ルビー文庫とかで出せる感じの和風ファンタジーだわーと痛感。

世間では無能扱いですが、魔除けに効くらしい花を咲かせる不思議な力を持っているので、いずれはその才覚を見出されて、活躍するようになるのだと思います。
劣等生だけど実はすごい、というパターンですね。さす倖!

そんな彼女の導き手である軍人・柳津史琉さんは実力主義の無骨な人格ですが、二人の付かず離れずなやりとりも微笑ましいです。

レトロな大正浪漫の風情、こと服飾に関しては入念に取材されており、ディテールの細かさに舌を巻きました。
女性読者におすすめの小説です。