第41話 遺伝子差別

 ADHD、アスペルガー症候群、共に原因というのは今一つはっきりとしません。

 ですが人間というのはすごいもので分からないなら分からないなりに調べて分かろうとする生き物なのです。


 その結果、原因の一つに両方とも「遺伝」である確率が高いとされる事が分かってきました。

(まだ決着がついているわけではないので断定はできませんが)



 SFみたいな話になりますがそう遠くない将来、多分私が何とか生きている頃にはゲノム関係の技術も進んで、遺伝子検査が当たり前になって将来かかりうる病気を判別して、予防や治療に役立てられるようになる日が来るでしょう。


 そうなると「アイツはADHDだから子供も病気になる! だから結婚するな!」と結婚を破談にされたり、子供が学校で「アスペうぜえ。近寄るな」等と遺伝子をネタにいじめや差別が起こる。

 あるいは就職活動で明言はされないものの遺伝子が原因で採用人事に色眼鏡がかかる。なんてこともあり得ない話ではありません。



「そんな安いSFみたいな話が現実に起こるわけないだろ」とお思いかもしれません。私も「くっだらねぇ馬鹿げた話」や「アスペ野郎の被害妄想」で終わってほしいと思っております。しかし現実にはそうはいきません。


 実際、現段階でもアメリカでは遺伝子検査で得られた情報を基に、保険を強制的に解約させられる、遺伝子を理由に雇用を拒否される、という事態が現実に起こっており、遺伝子差別を専門に対応する機関への訴えも年々増えているとの事です。


 そんな遺伝子差別にADHDやアスペルガーの人も巻き込まれてしまうのでは? ただでさえ社会的地位が低い傾向にあるこの病に更なる逆風、それもとてつもなく強い逆風が拭いてしまうのでは? というのは今現在非常に不安に思っています。



 ちなみに現時点でアメリカは遺伝子差別を禁止する法律が不完全ながら制定されていますが日本にはそれに該当する法律が無いのが現状です。

 一応ガイドラインはありますがあくまで「自主規制」程度で「法による強制力」は存在しません。


 このままゲノム社会を迎えてしまったら、ADHDとアスペルガー患者は取り返しのつかないような悲劇に見舞われるのではないのかと、それだけは非常に不安に思っています。



 ただの被害妄想丸だしなアスペ野郎が訳の分かんねえ妄言をばらまいてる。

 と思っていただければそれでもいいですし、実際にただの妄言で終わってくれることを祈っています。


 ただでさえ遺伝子というのは「究極の個人情報」であり、それをネタにいじめや差別が起こったらそれこそ取り返しがつかなくなってしまう事態にまで発展してしまう危険性は大いにあるでしょう。

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