第18話 不自然な無意識

 アスペルガー症候群の一番の問題はこれらの事をすべて「無意識に」やっている事です。これら健常者から見れば「異常」(あえて「異常」と書きます)な事が当たり前の世の中と思っているんです。


 会話は空気を読まなくて「当たり前」だし、回りくどい言い方なんてしないのが「当たり前」だと思っているのです。

 そもそも何で空気を読む必要があるのかがまるで理解できないのです。素直に言えばいいのに何でそんなめんどくさい事をするんだ? と心の底から疑問に思っています。

 産まれつき視覚障害を持った人間に世界の色彩の豊かさを教えるようなもので、全くピンと来ないのです。


 ですので普通に過ごしているだけなのに「何故か」友達に嫌われる、ちゃんと真面目に授業を受けているのに「何故か」先生に怒られる、きちんと仕事をしているはずなのに「何故か」仕事でミスばかりしてしまう、そしていくら考えてもその理由が「何故か」分からない。

 それで悩んでいるんです。



 じぶんが「おかしい」事に気づいていない、自分が「ビョウキ」だと気づいていないうちは治療のしようが無いのです。

 ギャンブル依存症の人はまず「自分が依存症である」事に気付かせるのが治療の第1段階と言われていますがそれと同じで、まず「これは個性ではなく病気なんだ」と自覚させる必要があるでしょう

 ですので周りの人が気付いてあげることが何よりも大事です。

 もし周りの人にアスペルガーだと思われるような人がいた場合は一刻も早く伝えてあげるようにしてください。

 二次障害を起こしてしまうと本当に厄介になりますのでお気を付け下さい。



 あと皆様には分かってくれないかもしれない。と思っていますが、アスペルガーの人は本当に悪気があってやってるわけじゃないんです。

 とにかくただ他の人と一緒に善良な一般市民として生活したいだけなんです。高望みなんて一切していません。ただ「普通」に生きていきたいだけなんです。

 ただその「普通」の概念といいますかイメージ像が、本当の意味での「普通」の人とかけ離れているため色々と問題が起こってしまっているわけなんです。



 「何でそんな事も出来ないんだ!? 他の人は普通に出来てるんだぞ!?」と言いたくなる気持ち、分からないわけではありません。

 正直「こんな奴とは関わりたくない」という気持ち、分かります。発達障害を持ってる奴なんて大嫌いだ! と声を大にして言う方もいますがそう言われてもある程度は仕方ないなと思っています。人の期待を裏切ってばっかりで出来ないことの方が多いと思いますので。

 カサンドラ症候群と言って周りにいる人間が疲れ切って病気を発症してしまうケースも分かります。四六時中こんな奴に振り回されていたら疲れるに決まってます。



 ですがその「普通」が出来ずに苦しんでいるという人もいるというのをどうか忘れないでください。

 とにかく「喉から手が出そうなほど」普通でいたいのにそれが叶わずに苦しんでいる人も世の中に入るという事をどうか忘れないでください。

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