猫のモンちゃんは考えた

 これは、東京のとあるマンション。後藤家で飼われている猫、モンの話である。


 モンは、三毛の雌猫ではあったが、自分のことを人間だと思っていた。なぜなら、物心ついたときからモンは後藤家の一員であり、去年の冬、お母さんに赤ん坊が産まれたとき、「これでモンもお姉さんね」などと言ったからである。


 モンは食事も家族と同じものを食べていたし、トイレも同じ場所にあった。マンション飼いのため、ほかの猫に会ったことはなかったし、鏡というものは理解していなかった。


 そんなある日、後藤家にお客さんがやってきた。お母さんの友達の三沢さんである。三沢さんは手に小さなカゴを提げてきた。


「もし、ケンカするようならすぐにお暇するわ」


 そう言って、カゴを床に置いた。中から出てきたのは四つ足の動物。三角の耳に長いしっぽ。それはモンと同じ猫に違いないのだが、自分のことを人間だと思っている彼女は、変な動物が来たなと思った。


「わあ、可愛い! なつっこいのね」

「ほら、こっちおいで」

「すごいふわふわだ!」


 お母さんと子供たちが嬉しそうに動物を撫でる。と、お母さんがモンを見て笑った。


「見て、モン。猫ちゃんですよー、ユキちゃんって言うんだって」


 ほう、この動物は「猫」というのか――モンは思った。そして同時に、こんなに可愛がってもらえるなんて、「猫」とはいい動物だな、と羨ましくなった。

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