#010-第11話「本当は、怖いだけ」

 その提案、考える余地もない。俺の答えは無論、


「イヤです」


 この一言である。ロリ神様は腕を組んで眉間に皺を寄せた。


「……ううむ。しかしのぅ、お主の正妻候補は新月生まれなのじゃ。どう転んでも無理なのじゃ。ちなみにお主の姉も新月じゃから無理じゃ」


 サラっとすごい事を付け足された気がするが、無理矢理スルーする。


「仮にリオが相手だったとしても、謎の声アハシマのために子どもを作るつもりはありませんよ」

「……そうじゃろう? じゃから、愛情なぞない相手との間に」

「あー、もう話し合いになりませんよ、ツクヨミノミコト

「ほ、本名をいきなり呼ばれるとドキっとするのじゃ」

「そんなことどーでもいいんですけど」


 俺は机に肘をついて、ロリ神様を見た。


「現代の人間社会の中では、そういうのは無理なんですよ、神様」

「それはわかっておるのじゃが……」

「あなたたちもあなたたちで、別の方法を探す方が建設的なんじゃないですか。俺はどうやったって――」

「そのウサミミが」


 ロリ神様は顔を上げた。その目が少し怖い。


「そのミミが、一生モノになったとしてもか?」

「脅迫するんですか」

「やむを得ないじゃろう。我々神がここまでお主らとの譲歩策を……」

「それは譲歩とは言わないんですよ。ただの人権侵害だ」


 冗談じゃないぞと。


「……しかたない。お主の思いは理解できたのじゃ。じゃから、母上と何とかコンタクトを取ってみるのじゃ。すまなかったの……」


 急にしおらしくなるロリ神様に、不覚にも、またもちょっとだけ萌えた。短い着物の裾から覗く太ももと膝……には、残念ながらまったくそそられなかったが。


 そうだ、やっぱり俺にはロリ属性はこれっぽっちもないのである。誰だ、今更ブラバしようとしたヤツは。もう遅い、最後まで付き合いなさい。


「ところでさっきの、ウサミミをリオに見えるようにするとかいう提案ですが」

「ああ、あれか」


 すっかり元気のなくなったロリ神様である。


「どうするのじゃ。少しは進行を遅らせる事ができるとは思うのじゃが」

「やっぱりナシで。リオに説明できる自信がないんで」

「そうか……。しかしのハルくん、お主、本当は怖いだけじゃろ」


 ロリ神様は俺をじっと見つめてきた。その赤い瞳は、俺の全てを見通そうとするかのように輝いていた。

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