#004-第6話「おっぱいへのファーストコンタクト!?」

 事細かにそれを指摘するのは今回は割愛するが、おおよそに於いて俺の推測は当たっていたと言って良い。


 逆に言えば、リオはそれだけ素直に、隠さず、俺に本心を伝えてくれていたという事になる。仮にそれら全てが計算ずくであったとしても、ここまで完璧にカムフラージュしてくれるというのなら、一生そのままで良いとも思った。


 どうしても看過し得ぬ誤りがあると指摘するならば、「俺が主人公してしまっている」という点、これに尽きる。俺はモブキャラでいたいのである。いや、でもリオにとっては主人公でありたいという気持ちもある。


 ん?


 ということは、これでいいのか。


 合ってるわ。合ってる、リオさん。ごめん。


 そう思ったら、何か胸がいっぱいになってきた。愛されすぎだろ、俺。


「ど、ど、どうだった?」


 リオの問いかけ。それに対して、俺はこうこたえた。

 

「リオ、キスして良い?」


 言いながら立ち上がり、ベッドに座っているリオの横に腰を下ろした。そして、問答無用でキスをした。短いキスだったが、とりあえず俺はそれで満足する。

 

「ハルくんってば♡ ……で、どう思った?」

「すごいよね、リオは。上手いのは勿論なんだけど、その、すごくぶっちゃけてるというかさ」


 俺はリオと手を繋ごうとしたが、リオは慌てた様子でササッと手を離した。


「なまら汗ばんでるべ? 手汗なまらヤバイ」

「訛りのほうがヤバイよ、リオ」


 思わず笑ってしまう。リオは手をティッシュで拭きながら、少し頬を膨らませる。


「ドキドキしすぎて心臓ヤバイよ。……確かめてみる?」


 リオが胸を突き出してくる。俺は「いやいや」と両手を振った。


「触り……確かめたい気持ちは山々だけど、今はマンガの感想が先でしょ?」

「そ、そうだね」


 リオはしゅんとなる。


 ……触って欲しいのか、おっぱいを。


 いや、俺だってすっごく触りたいんです、本当は。


 なんだかんだで三年半。そろそろおっぱいくらい揉んでも、まだだと言い張れるのではないだろうか――などと、灰色の小さな脳細胞を駆使して考えた。


「いや、ごめん。おっぱいが先だわ」


 はれ? 俺は何を口走りました?


 リオさんはキョトンとして俺を見ていた。しかし、俺の視線はもうほとんどおっぱいから動かせなくなっていた。どうにも目玉が動かせないのだ。


 リオのおっぱいは、姉のに比べれば控え目に見えるが、実はそこそこ大きいはずだ。


 リオの喉がごくん、と何かを飲み下した。


「……い、いいよ。でも、優しく触ってくれる?」

「はい! よろこんで!」


 何を言ってますかね、俺さん? そしてその不穏な動きの両手は何ですか?


 リオは俺を凝視したまま、手を後ろについて、俺の方におっぱいを突き出すようにして待っていた。


 俺の手がすぅっと伸びて、リオの二つの膨らみに、正確に誘導されていく。着弾まで、あと、三、二、一。


「凛凰~?」


 ビクゥッ!!!


 唐突に響いたリオ母の声に、俺とリオはなぜか背中合わせに立ち上がった。いつの間にか帰ってきていたらしい。


「凛凰、おやつ買ってきたわよ?」


 俺のリオおっぱいへのファーストコンタクトは、このようにして未遂に終わったのであった。

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