第24話 農地改革
産業の改革は順調に進んでいるとして、自らが行う農地改革はまだ何も手を付けていない。
砂漠を土に変えるだけならいいのだが、土の需要と砂の需要を考えた時、砂の需要が無いか?あれば面白い事になりそうな感じがした。
そこでリュウが考えたのが、海岸に砂をもってきてリゾートにするというものだ。 この世界に来たばかりの頃は魔の森の中で寒かったが、このマキワは常夏の国に近かったので海の楽園を作り、観光客を呼び込もうという算段である。
海岸近くの土は農業予定地へと移し、砂と入れ替えた。
当初の考えの地中深くにある土を掘り起こすというアイデアを実行していたのだが、砂漠という環境を考えて一つの懸念事項が現実のものとなった。
それは、地下に油田があったからだ。
元の世界にも熱い砂漠の地域に油田の産地が多かったが、ここの油田のオイル純度は非常に高いものだった。
本格的に全土の地質を調べると油田の範囲は広域に渡っていた。
『ここは何もない土地どころか宝の山じゃないか』
いままでに誰も見つけていないのが不思議だったが、50メートル以上地下を掘り下げるなんて普通はやらないだろう。
原油のままでは使用が出来ないため、石油プラントを造り原油を精製しなくてはいけない。 精製方法は、原油を加熱して蒸留するのだ。 蒸留装置は縦長のタンクになっていて下が高温、上にいく程低温になる。
そして上から
LPガス→ガソリン→灯油→軽油→重油・アスファルト が精製される。
道路整備を考えていたリュウにとってこのアスファルトは非常に役立つものだった。 街道にアスファルトを敷き、石油街灯を等間隔に設置すれば夜間移動もしやすくなる。
それと、生活に重要なのがプラスチックの存在だ。元の世界ではプラスチックで出来た成形品が多くを占めており、この世界でも あれば利用価値の高いものになるのは確実である。
プラスチックの原料はガソリンと同じ温度で精製されるナフサを精製して作る。とりあえずはエチレン系とプロピレン系の2種類でいいだろう。
リュウは元の世界で化学の知識を得ていて良かったとつくづく思った。今回の改革でその知識は最大限に利用されていたのだ。
石油プラント計画は進めるとして、やらないといけないのが本題の農地改革である。 人口増加計画を実現させるには食の確保は不可欠なのである。効率的に野菜が収穫できるようにしないといけない。 その為には土壌を肥やす必要がある。
具体的には土に有機物を混ぜ、微生物やミミズなどの活動により野菜が育ちやすい環境を作ってやるのだ。 有機物は枯葉や堆肥などを集めてくる。枯葉は魔の山にいくらでもあったので空間転移で山の様に積んである。そのついでに発育の良かった魔の山の土も混ぜることにした。 これは効果てき面だった。 魔の山の土は通常の3倍くらいの発育促進効果があったのだ。 これは通常3カ月で収穫できる野菜が1カ月で収穫できるということだ。
こうして出来上がった特別製の土を広い範囲にばら撒き、リュウの時間操作で超加速を加えて1日で10年加速させ、豊かな土壌環境ができあがった。
野菜は、キャベツ・白菜・レタス・ほうれん草の葉物から大根・ニンジン・ゴボウなどの根野菜、ジャガイモ・サツマイモなどのイモ類など考えられる野菜は全て育てあげた。
作物の種類や効率的な栽培については今後農家と相談しながら進めることにする。
これで人口がどれだけ増えても食の問題は解決だ。
リュウのハイテク知識とチート能力でマキワはこれから恐ろしい程の勢いで発展を遂げることとなる。
出来上がったばかりのトマトをかじりながら、広大な野菜農場を満足げにリュウは眺めていた。
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