第307話 吾輩の『見知らぬ天井』

吾輩は目を覚ました。こうもりが――


「あれ?」


話しかけてこない。辺りを見渡す。見知らぬ天井――見知らぬ場所。


「一体、どこだ……ここは」


吾輩はベッドから起き上がり、辺り歩く。骨董品が並べられ、アンティーク調の家具。部屋自体は吾輩の屋敷に似ているがどこか似て非なる。どことなく、綺麗なのである。


「おーい、せばすちゃん!!どこいった?吾輩のけんぞーく」


セバスチャンを探し屋敷を歩き回った。しかし、姿は見えず。


さては、ボイコットか??仕事放棄とは、許せん。主人として、お願いだから帰ってきてと土下座をかますしかあるまい。吾輩は屋敷の扉を開けて外に出た。


「ここは――」


見知らぬ風景。どこか中世のような感じを思わせる。薄茶色のレンガ造りの家、煙突からは煙が立ち伸びている。


「誰かいませんか?吾輩の眷属?どこかに隠れているの??状況説明をプリーズ」


返事が返ってこない。一体何がオキマンジャロ。


首を斜めに倒し、風景を変えてみてみる。うん。知らない風景だ。角度を変えても無駄った。とりあえずどうしようか?


迷った吾輩は街中に向かって歩き出す。心臓破りの坂が無くなっていた。石畳の上を軽快に警戒し歩いていく。町からは金属を打ち付けるようなカンカンという音が鳴り響ていた。そして、不可思議な点があった。


「さっきから、反応がないな。まったく。この町はどうなっているんだ。人っ子一人いないぞ」


そうだったのだ。いくつものレンガ調の建物がある中に人が誰もいない。気配もない。通りすがりに見た看板には『町人10万人突破』と書いてあった。


「一人では物語も進行できないよ……セバスチャン……帰ってきてよ、うぅううう」


一人涙を流しながら、人がいない町をひた歩く。どこまでも続く同じようなレンガ調の家。煙が出ていても町人一人もいない。


「迷子ですか?」

「セバスチャン!!」


吾輩の前に一人の蝙蝠が現れた。


「どこいってたんだ、セバスチャン!!めちゃくちゃ寂しかってん」

「セバスチャン??」

「もう帰ろう。おうちに帰ろう。早くいつもみたいにお目覚めですか、旦那?って言って!!そうしたらきっと戻るから」

「何を仰ってるのかわかりません」

「吾輩が悪かったよ、ちゃんと直すからさ。やる気も出すからさ!!イジメないで」


困り顔のセバスチャンに吾輩は土下座しながら許しをこいた。頼む、おうち帰りたい。こうもりが土下座姿の吾輩に口を開いた


「すいません。私の名前はセバスチンです」

「えっ??」

「あなた蝙蝠語がわかるんですか???」


なん………だ…と!?



《つづく?》

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