あまびエ。

 いつものバス停にて――


「エキビョ~がはやったときにみせろといったアマビエのエがかかれたトラック?」

 イブキがSNSで話題のそんな記事を読んでいた。


「アマエビ?」

 月夜がプリップリの海老をイメ~ジしながら、


「アマビエっ! エドじだいにウミからやってきたペンギンみたいなヨ~カイだよ。ジブンのスガタをエにしてみせればビョ~キをなおしてくれるってつげたんだって」


「ふ~ん……アマエビがね~。確かにおいし~わよね」


「アマビエね。どんなビョ~キもなおしてくれんならみてみたいよねぇ~」

 イブキがスマホ画面にマビエを写しながら、


「ふ~ん……これがね~……でも、アンタなんの病気を治してもらうの? ゲ~ム依存症とか?」


「いや~べつにイブキさんイゾンショ~じゃないモン」


「じゃ、身体的な発達の遅さ? ムネとか」


「それもすぐにスクスクせ~ちょ~しておっきく、すっごくおっきくなるし……」


「そ~かしら?」

 月夜はまったく成長の兆ししも欠片もみせないイブキのムネを見ながら、首を傾げる。


「月夜だってカショクショ~とかなおるかもよ?」


「過食症? ウチが?? ウチなんて小食なほうでしょ」

 なにをアホな事をいってるんだかと、呆れながらそういう月夜。


「じ、じかくないんだ……」


「あ~……でも、動物に嫌われる性質はなおんないかしら?」


「それビョ~キなの?」

 月夜のぼやきにそう返すイブキだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る