ばれんたいン。

 いつものバス停にて――


「ふふん♪」

 イブキが綺麗にラッピングされたチョコを見ながら、


「じょ〜ずにできたからどんなハンノ〜してくれるだろぉ〜?」


「あげる人決まったの?」

 イブキから貰ったチョコと肉まんを食べながら月夜が聞いてくる。


「まだ〜……でも、あそこのカドからSwitchをくわえてパンをやりながらはしってくるオトコのヒトまってるの」


「へぇ〜……」


「コトシはジシンサクっ! オトコのヒトがすきなツルギがたチョコ――みなごろしのけん、はかいのつるぎ、まけんネクロでまよって『まどろみのけん』にしてみました」


「そ〜なんだ」


「しんたいそ〜のリボンみたいにグルグルするのにクロ〜したよ」


「でも、イブキさんがんばったっ! グルグルがんばってつくったよっ! あとはアソコのカドから――」


「ここでバス乗るからそこの角まで行かないケドね〜」


「さぁ〜はやくくるんだっ! Switchをくわえた――」

 期待の籠もった眼差しを角に向ける。


「あっ! バスきた行くわよ」

 月夜に襟首を掴まれズリズリ引っ張っられても角を見つめ続ける。


 そして下校時――


「……ダンボ〜ル」

 光沢の亡くなった瞳をしたイブキはそう洩らす。


「ダンボ〜ルのカドってたまにでんせつのけんみたいなキレアジでテをきりさいてくるよねぇ〜」

 抑揚のない声でそんな事をいうイブキの隣では、


「ん! 食べ難いケドおいし〜」

 イブキの自信作を食べる月夜だった。

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