にク。

 いつものバス停にて――


「そっか! こ、今年は四年に一度の祭典なんだっ!」

 月夜がなにかの記事を見ながら、そんな声を洩らす。


「あ~……いまセ~カランナ~ぼしゅ~してるトコあるよねぇ~。月夜もキョ~ミあるんだ~」


「?」


「よねんにいちどってオリンピックでしょ?」


「違うわよ」


「ん? ほかになんかあったっけ? エヴァは4ネンじゃすまないときあるし~……PS5みたいなハ~ドてんかんも4ネンシュ~キじゃないし……」


「二月の肉の日よっ! 二月二九日があるのよっ!!」

 背後に効果音つきで言い切る月夜。


「あっ! コチシのシュ~ガツにじつぶつだいうごくガン〇ムがコ~カイなんだぁ~」

 月夜の言葉を無視して、興味のある記事を読み始めるイブキ。


「四年に一度の肉の祭典――きっといろんなお店がドシドシ肉盛りなサ〜ビスを展開してくるハズっ!」


「そっかなぁ〜? イブキさんいわれるまでしらなかったけど……コトシは2ガツっていちにちお〜いんだぁ〜」


「肉業界では去年の暮れ辺りから騒がれてるわ」


「そんなギョ〜カイあんのっ⁉︎」


「焼肉やステ〜キハウス、牛丼なんかが凌ぎを削り合う世界よ。それが来る二九日になにを持ってくるか、いまからワクワクするわよね〜」


「ん〜……あんまり」


「さ〜はやくきなさい二九日」

 瞳を肉にしながら空に向かって腕を上げそんな事をいう月夜だった。

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