このミ。

 いつものバス停にて――


「シ、シラスウナギが漁獲高っ!?」

 月夜がグルメ系アプリの中にあった、そんな記事を読んでいた。


「こ、これは今年の夏は期待できるわね」

 瞳をウナギにしながら、そんな事をいう。


「一一五トンと昨年の七倍っ!? ななばいっ!!」


「七倍だって! 七倍っ!!」

 そう言いながら隣のイブキと握手する。


「きたわっ! 二〇二〇年はじまったわねっ! 今年はウナ丼食べほ~だいどっかでやるかしらね~?」

 瞳をウナギとハ~トにしながらそんな事をいう月夜の隣では、


「やきにくチェ~ンが1マン1000エンでやきにくヒトツキたべほ~だいのサブスクリプションサ~ビスをキュ~キョテイシするとハッピョ~?」


「このサ~ビスはツ~ジョ~3480エンのコ~スがひとつきのあいだリヨ~できるとゆ~サ~ビスでジッシツ3かいいけばモトがとれるとゆ~ヒジョ~におとくなサブスクだった――へェ~……そ~なんだぁ~」


「しかし、さまざまなメディアにとりあげられコ~ニュ~シャ~がサット~。サ~ビスをうけてもおみせにはいれないジョ~タイがハッセ~――なるほど、おみせのキャパこえちゃったんだねぇ~」


「残念よね~。これ買って毎日、牛ざんまいしたかったのに~」

 両手を左右にひろげるような奇妙なポ~ズを取りながら、そんな事を言う月夜の瞳は牛になっていた。

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