やさし~せかイ。
いつものバス停にて――
「折りたたみスマホに不具合ね~」
月夜がそろそろ劣化の激しいスマホで最新のスマホをチェックしていた。
「液晶画面を折れるってすごいわよね。ど~なってんのかしらね~?」
実際に折り曲げられたり、たたまれたりする動画を見ながら感心したように言う月夜。
「ま~こんな最新のはいらないのよね~。とりあえずそこそこ使えて、そこそこ多機能でそこそこ安くって、カメラもそこそこ良くって、バッテリ~が一日もつやつがいいかな~」
月夜がそんな事を言っている隣では、
「バルセロナでおこなわれたチキュ~カガクのカンファレンスで、シカゴだいがくのヒトがチキュ~よりやさしいホシがあるかもしれないとハッピョ~?」
イブキがテクノロジ~系ニュ~スの中にあった、そんな記事を読んでいた。
「チキュ~よりもやさし~セカイ……」
そんな声を洩らしつつ、優しい世界というモノをイメ~ジする。
「まず……ビデオテニスからはじまって、さいしんのゲ~ムがぜんぶスマホでできるカンゼンなヴァ~チャルコンソ~ルがあって……ムネをおっきくするクスリがあってぇ~……ガッコ~がなくって、ん~っと……」
とりあえず思いついたモノを列挙する。
「まず食べ物でしょ!」
月夜がそういって口を挟んでくる。
「そっかなぁ~?」
「そ~よ! 牛丼のなる木があったら争いも起こらないし、この上もなく優しい世界になるわっ!」
「う~みゅ……月夜がドクセンしそ~だけど?」
科学者が示唆した生命体に満ち満ちた世界を欲望に塗り替える二人だった。
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