さいたマ。

いつものバス停にて――


「へぇ〜……埼玉から東京に通ってる人って九三万人もいるんだ〜……」

月夜が雑学系の記事の中にあった、そんな記事を読んでいた。


「も〜ちょっとで一〇〇万だし、なんとか超えないかしら? 別に越えてのなにかあるワケじゃないケド……埼玉の人は毎日一〇〇万人が東京に行ってるっていえばなんか『凄い!』って思えるし……いや、九三万人でも十分すごいんだケド……」


「ん〜……ってコトはサイタマのヒトにヨロイきせてウマのっければソ〜ソ〜ぐんができんだっ⁉︎ リュ〜ビぐんせめなきゃ!」

ゲ〜ム脳なイブキは一〇〇万という数字だけで、そんな事をいう。


「それだと孔明にやれちゃうじゃない埼玉県民」


「じゃ、ロ〜マせめよ〜! ヨ〜ロッパをジュ〜リンしたフンぞくは70マンニンぐらいだからヨユ〜ヨユ〜」

今度は埼玉県民に毛皮を着せて、ドワ〜フのような扮装をさせる。


「とりあえずどっかの攻めようと考える戦国武将のようなその考えやめたら」

呆れ顔でそういう月夜。


「え〜! 100マンのサイタマのヒトあやつりたいよ〜……ど〜すればいいかな〜。ケンチジとかになったらできるかな??」


「できないと思う。だいたいなにやらせる気よ?」


「ん〜……ハチモンキンサのジンとかカクヨクのジンとかギョリンのジンとかさせる」

イブキが戦笛が『ぶお〜!』と轟く戦場の高台から綺麗に隊列をつくる埼玉県民を見渡す。


「牛丼早食いの陣は?」


「そんなモンないっ!」

背後に髭の綺麗な武将を背負いながら、そう言い切るイブキだった。

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