ひっかかリ。

 いつものバス停にて――


「肉のトライアスロン……とってもウチ向きの企画じゃないっ!」

 月夜がグルメ系アプリの中にあった、居酒屋の企画イベントを見ながらそんな事を言う。


「ビフテキ、唐揚げに照り焼きチ~ズチキン、肉寿司、肉鍋――四、五キロの大肉祭りっ!! でも、三人一組でエントリ~かぁ~……」

 月夜の視線が自然と隣にいるイブキに向く、


「う~みゅ……ダイイチかいいきからダイソンでてくるジダイになったのかぁ~……カタログスペックだけみるとすっごいけど、もうなれちゃってカイヒひくいから、なんかカリョクでおせるからキョ~リョクなク~ボでてくるよりマシとか、『ATフィ~ルドでもはってんのっ!?』ってほどかたいセンスイカンでてくるよりもマシっておもうよ~になっちゃモンっ!」

 ゲ~ム情報を一心不乱に読み込むイブキ。


「E4なんかヒメとセンカン5セキとズイハンのレンゴ~だモンなっ! でもあとでセンスイカン5セキでらくらくコ~リャクできるってハンメ~したし、やっぱしイブキさんたちパイオニアて~とくがながしたナミダやおっさんテ~トクがなくしたモ~コンはムダじゃなかったんだよねっ!!」

 半ば自分に言い聞かせるように、そんな事を洩らすイブキ。


「ん? あぁ……タッチパネルがハンノ~しなくなっちゃった」

 そういうと服を引っ張って胸の中にスマホをいれるイブキ。


「なんでそんなトコにいれんの?」


「うん? あぁ……このシンガタスマホ、なんかさむくなるとタッチパネルがハンノ~しなくなるみたい」


「いや、そうじゃなくって、なんで服の中にいれるの?」


「ふふん♪ イブキさんのようにキョニュ~(になるヨテ~)のコはスマホをここにしまうんだよね!」

 自信満々にそう言う、イブキの服の裾からスマホが落下する。


「まあ、アンタみたいに身体に引っかかるトコない人がやったらそ~なるわね」

 凹凸のないイブキの身体を見ながら、そんな事を洩らす月夜だった。

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