ど〜ぶつえんへいゴ〜

いつものバス停にて――


「テキサスのBBQ魂がすごいっと米ソ〜シャルサイトで話題? なんだろ〜? テキサスってテリ〜マンのトコだよね? 新幹線を止めながらBBQとかかな?」

月夜がそんな三〇代後半以上しかわからないハズの事を呟きながら、グルメ系アプリの中にあった記事を読んでいた。


「うわっ! こ、これは……」

月夜は読み込まれた画像を見るなり、そんな声を洩らした。


その画像とは――洪水で膝まで水に浸かっている川岸で傘を差しながらBBQのアミを囲む男達。


「こんな状況でも肉を食べたいなんてすっごいわテキサスっ!」

月夜がそんな肉愛に共感していると、


「ね〜ね〜月夜」

イブキが話しかけてきた。


「ド〜ブツえんいこ〜」


「始業式のあとに?」


「いやいまから」


「いや学校だから」


「ふふん♪ ほら――」

自信満々な表情でスマホ画面を見せてくる。


「Twitterであるド〜ブツえんがムリしてガッコ〜いかなくてもいいからド〜ブツみにきてって」


「これイジメとかにあってる子は無理に学校へ行かなくっていいって意味でしょ? アンタべつになんもないじゃん」


「タンジュンにキョ〜はガッコ〜ってキブンじゃないかな〜……」

ダルそうな表情でそう言うイブキ。


「ほら、行くわよ」

丁度よくやってきたバスの中にイブキを放り込む月夜。

二学期初日はこうして始まるのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る