そらヘ。

 いつものバス停にて――


「かっぱ寿司食べほ~だい実施で客数を三倍にっ!?」

 月夜がグルメ系アプリの中にあった、そんな記事を読んでいた。


「費用が一三八〇円だモンねぇ~。女子高生の平均的な回転寿司食べる皿数は三八皿だからぜんぜん元取れちゃうし、デザ~トやサイドメニュ~は別腹――合計五〇〇〇円いくトコをこの金額で押さえれるなら行っちゃわよねっ!」

 月夜がシレっと成人男性の二倍の量を女子高生の平均にしている隣では、


「ス~パ~カブがそらおとぶっ!?」

 イブキがそんなタイトルのテクノロジ~系ニュ~スを読んでいた。


「オ~トパイロットでどこへでもいけるかぁ~……」


「アンタ外でないじゃん!」

 真夏にもかかわらず全く陽に焼けていない真っ白なイブキの肌を指しながら、


「はら、ガッコ~いくのにとか……」

 極度のインドア派なのを思い出し、そう返すイブキ。


「いる? 家あっこでしょ?」

 バス停からほんの少し先を指しながら、


「ほら、ジュ~タイとか……」


「前、大雪で渋滞してた時「ど~ど~とサぼれるっ!」って言ってなかった?」


「お~ぞらはロマンなんだよっ!」


「そんなに跳びたい?」


「そりゃ~……ん? なんかまえにもこんなコトが……」


「よいしょ」

 月夜はバス停を持ち上げ――


 その日、ときどき目撃される空飛ぶ女子中学生らしき存在が再び事案になった。

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