ばれんたいんで~

 いつものバス停にて――


「タコ焼きを焼くときのコツは90度回転させながら焼くのがイイんだ~」

 月夜がグルメ系アプリの中にあった、そんな記事を読みながら、


「焼くときは時計をイメ~ジしてキリで三時から六時へと回転させる感じねぇ~。ひっくり返した時に出っ張ってる――耳とよばれる部分を整える、、焼きムラがなくなるように二、三回この工程を繰り返す……むう……お店では簡単そ~にやってるケド、結構大変なのね……たこ焼きパ~ティ~できるかな~?」

 月夜がそんな感じで妙なスキルを身に着けようとしている隣では、


「んふふふふふふふ♪」

 綺麗にラッピングされた包みを持ったイブキは上機嫌でそんな声を洩らしていた。


「なによ? いつになく上機嫌じゃない??」

 月夜がそんなイブキを気味悪そうに見ながら、


「だって、ほら――」

 そう言いながらスマホ画面を見せる。


「あらっ!? おいしそ~」


「でしょ、でしょ! キノ~すっごくジョ~ズにできたんだっ!」

 ハ~ト型にホワイトソ~スで『LOVE』と描かれ、チョコトリュフを振りかけられた画像を見せながら、


「へぇ~。おいしそ~ね、ハイ」


「ん? なにそのテ」


「えっ! だって、ウチにくれんでしょ?」


「あげないモンっ! これは……あそこのカドをまがったときに――」

 通りの先を指すイブキに、


「いやウチ等、バス待ってるしあそこまがんないし……」


「ガッコ~のゲタばこのなかにラブレタ~はいってて……」


「そ~いえば、毎年2月14日は靴箱の中全部出して、ズッポシ頭をつっこんで隅々まで探してたわね~……」


「もうっ! きっとだれかくるモンっ!!」


「そ~いいながら毎年、学校帰りにウチが食べるじゃない? もう今もらっても一緒だって」


「こ、ことしはちがうモンっ! きっと――きっと――」

 近くのバス停をガンガン叩きながらそう力説するイブキ。


 下校時――


「んぐんぐ――おいしっ! また腕を上げたわねっ‼︎」

隣で肩を落とすイブキにそんな声をかけながらレベルの高い手作りチョコを頬張る月夜だった。

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