つるっ!

 いつものバス停にて――


「――っくちゅん!」

 イブキがそんなクシャミをしつつ身体を震わせる。


「それにしても見事なトリプルアクセルだったわね~」

 月夜は先ほどイブキが横断歩道の白線で足を滑らせ見事に大回転をした姿を思い起こす。


 元々、滑りやすいロ~ファ~で表面が凍った白線に踏んだ瞬間――つま先を高々と上げ宙を舞う! 動きやすい様にと短くしたスカ~トがフワリと風をはらみ膨らむ、慌ててバランスを取ろうと両腕を左右へと大きく広げる様はフィギアスケ~トの手さばきの様だ。


 持前の身軽さと、青信号で勢いよく飛び出したせいで物凄い――一流のアスリ~トも顔負けの勢いで一回転――二回転、三回転したトコロで、


 ずべしっ!


 お尻から地面に着く。


「あれは成功してたら東京五輪狙えてのになぁ~」

 どこからともかく小さな国旗を持ちながらそんな事を言う月夜。


「も~……ヒトゴトだとおもって……パンツがビチャビチャなんだよぉ~……」

 恨みがましい視線で月夜を見つつ、


「パンツまでぬれぬれですけちゃってんだから、かいだんとかきをつけないと……」

 カバンでスカ~トの裾を押さえながら、そんな事を言うイブキに、


「ウッカリ見ちゃった人が朝から不愉快な気分になるからシッカリ押さえときなさいよ」


「そ、そんなコトないもんっ! キョ~いちにちハッピ~ですごしてくれるよっ!!」

 記録的な大寒波の中で元気よくそう言うイブキだった。

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