はろうぃん。

いつものバス停にて――


「キリンの交尾はほとんどがオス同士……やだ……なにこれ……いろいろ捗っちゃうじゃない」

月夜がそんな如何わしい記事を読んでいる隣では、


「も〜すぐハロウィン! ことしはなにやろっかな〜?」

イブキが季節のスィーツ情報を見ながら、そんな事を洩らす。


「キョネンはヨ〜エンなマジョやったし……」


「あれって妖艶な魔女だったの?」

月夜はトンガリ帽子をかぶって、少し寒そうな格好の上にマントを羽織っていたイブキの姿を思い出す。


「背伸びした魔女っ子の仮装だと思ってた……」


「えぇ! どっからみてもオトコのヒトをイロカでまじょわす――」


「ほら、色香で惑わすなんって言い慣れない事言うから噛むし。惑わすとゆ〜よりもお嬢ちゃんお菓子もらっても知らない人には付いていっちゃダメよって感じだったケドなぁ〜」


「こ、ことしはちがうモンっ!」


「へぇ〜……どこが?」

月夜がムネの辺りを重点的にみつめながら、そう返す。


「す、スマホがシンガタになりました……」

身体的になにひとつ変わっていないイブキはそう言いながらピカピカのスマホを掲げるのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る