あいす。

いつものバス停にて――


「あ、あっつい……アイス……アイス……」

 炎天下の中、イブキが犬のように舌を出したままそう喘ぐ。


「ナツヤスミなのになんで……なんでガッコ~なんかいかないといけなんだろ~」

 今年も去年とまったく同じ事を呟きながらカバンの中からネイルを乾かす時に使う小型扇風機を取り出して『ブオ~』っという風を顔面に当てる。


「それはウチ等が高3で受験生だからでしょ」

 隣ではうっすら汗をかいてる月夜が昨日までとは、少し――微妙にコンビニに近い位置に立っていた。


「まいとし、まいとしホシュ~なんて……イブキさんのはなのコウコウセ~カツをなんだとおもってんのっ!」

 ブ~たれながらそんな事を言うイブキに、


「花のって……」

 月夜が呆れ顔のまま、


「去年も一昨年も花あったの一回もなかったじゃない」


「ホシュ~があったからなかっただけだモンっ!」

 そう言い切るイブキ。


「はいはい。そういう事にしましょ~ね。おっ!」

 イブキを軽くあしらいながら月夜がなにかを発見する。


「ねね。イブキ、帰りにアイス食べていかない?」


「いく、いく~」


「肉のアイスキャンディ~」


「それはいらないっ!」


「えぇ~! なんでなんで? トンコツス~プにココナッツ、ラズベリ~、ザクロ、メ~プルシロップをいれて冷やしたんだよっ!」


「うん。なんかワンコがよろこびそ~なモノだね」

 そう言い放つイブキだった。

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