せんきょへいこ~

 いつものバス停にて――


「んふふふふふふふふ――」

 私服で腰に手をあてたまま、そんな含み笑い洩らすイブキ。


「キョ~――キョ~イブキさんはオトナになるのだっ!」

 人差し指を天空に向けそう叫ぶ。


「通行人が聞いたら勘違いするからっ!」

 月夜が慌てて、イブキの口を塞ぎ周囲をキョロキョロと見渡す――近くにいた大学生風の男性と目を合うと、愛想笑いのまま会釈をする。


「だって、だって――センキョだよっ! オトナだよ! オトナだよねっ!!」


「ま、ま~……そうだケド……」


「でしょ、でしょ! イブキさんも~オトナ!! よ~し――まってろセ~ジカどもっ!!!」


「どもって……」


「でもさ~。イブキさんのイッピョ~がニホンをかえるっておもうと、なんかキュ~にエラくなったきがしてくるよね?」


「そうなんだケド……ちょっと大袈裟じゃない?」


「そっかな? いまニホンのメ~ウンはイブキさんのテのなかにっ!!!」

 握り拳を天へと向きながら、


「それはイイけど、ちゃんと投票用紙もってきた?」


「へ? うけつけで『イブキさんデ~ス!』っていえばカオパスじゃないの?」


「そんなワケないでしょ! 家に届いてたでしょ!!」


「そ~なの?」


「そうだよ! 早く取ってきなさいよ。大人になれないわよ」


「行ってくるっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 そのままア〇レちゃんダッシュで家まですっ飛んで行くイブキだった。


「はぁ~……ちゃんと選挙行けるかな?」

 そんな風に先行き不安を感じる月夜だった。

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