りゆ~

 いつものバス停にて――


「へぇ~……ラ~メン屋なんかで汁一滴まで飲み干してドンブリをひっくり返す――『伏せ丼』ってもともとはジョ~クから始まってたんだ~……辞書にも載って、ス~プが垂れないほど完全に食べ尽した作り手への敬意を伝える行為ってのを真剣に信じてわウチ」

 月夜がグルメ系ニュ~スにあったそんな記事を読みながら、まだ来ていないイブキの到着を待っていると――


「ごっめ~ん」

 朝食の代わりなのか、野菜ジュ~スをズ~ズ~飲みながら開口一番かる~いノリの謝罪をする。


「まだバス来てないからいいケド……アンタって家族の朝食作ってんじゃなかったっけ? それでなんで寝坊?」


「いや〜……はなすとながいリユ〜があるんだよ」


「どんな?」


「う〜ん……わかりやすくいうと〜はい」

 差し出されたスマホ画面には、


「なにこのデッカイぬいぐるみは?」


「カビゴンだよ」


「カビゴン? カネゴンの仲間?――でそれがど~したの?」


「これね~おっきなクッションになってんだよ」

 そういいながら、カベゴンのお腹の辺りにイブキがうつ伏せに寝てる画像を見せる。


「ふ~ん……ずいぶんおっきなヌイグルミ――と、ゆ~かクッションね」


「でしょ、でしょ。あさごはんのヨ~イおわってちょっとジカンあったから、このカネゲンのうえでゴロゴロしてたら――」


「寝ちゃって、あやうく遅刻するトコだったのね」


「うん、そう」

 悪びれもなくそう言い切るイブキだった。

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