うしになりたい。

 いつものバス停にて――


「アメリカがレ〜ルガンを2ねんいないにジッセンハイビっ! きたこれ‼︎ マッハ7かぁ〜……もっとでそ〜だけど……しよ〜デンリョクの78メガワットってすごいのかな? イブキさんのパソコンが1000ワットだから……えっと……」

イブキが指折り計算をしている横で、


「牛角!」

月夜が突然、声を上げる!


「――がっ!」

月夜腕を左腕を身体の前で『/』の形に掲げながら言葉を続ける。


「――たべ」

掲げた左腕で半円を描きながら、右腕と左腕の手首を合わせ。


「ほ〜だいっ!」

手首を合わせた両の手を前方に突き出しながら高々と言い放つ!


「それはい〜けど、なんでカメハメ◯なの?」


「なんとなく、今のウチのテンションだったらなんかできそ〜な気がしただけよ」

月夜が突き出した手の先にある車道を挟んだ向こう側の石壁には放射状のヒビがはいっているが、二人は気づいてない。


「そんな事より食べほ〜だいなのっ! しかも牛角‼︎ ちょっと、なんでそんなこの世の終わりみたいな顔してんの?」


「いや……ウシさんかぁ〜……ツノはえちゃちゃうかな〜……イブキさん」

自分の額に人差し指と中指で『V』を作りながら、ゲンナリした表情で呟く。


「乳牛みたいにオッパイおっきくなるかもよ」


「いっぐ‼︎」

テンションを急反転させたイブキに戸惑う月夜だった。

同時に乳牛と食肉用の牛違う事も言い出せなくなってしまう月夜だった。

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