ゆき。

 いつものバス停にて――


「ゆきにハシャグおと〜さんかぁ〜……」

イブキがツイッターで注目されている記事を画像つきで眺めながら、そんな事を洩らす。


「なにみてんの〜?」

それを退屈そうに自分の髪の端をいじってた月夜がイブキの洩らした呟きに反応する。


「ん〜……ほら、おちゃめな、おと〜さんとたのしそ〜なカゾクのわだいだよ。ほら――」

そう言ってイブキが差し出すスマホ画面には――足跡ひとつない真っ白な――まさに白無垢という言葉が相応しい新雪の中に埋まった男性の画像。


「なんか……ミステリ~漫画に出てくる雪の周囲に足跡がないから天然の密室とかそんな感じの絵だね」

 と、評す月夜。


「そだね。こんな――だれもがいちどはおもったけど、ジッコ~しないコトをやっちゃうヒトおもしろいな~って」


「えっ! 庭がこんな感じに綺麗に積もってたら毎回やんない?」


「……月夜。やったコトあんだ」

 一人だと意外に茶目ッ気を発揮する月夜だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る