ぴざ。

 いつものバス停にて――


「ふ~ん……カセ~にいまでもエキタイのミズがソンザイ――っとNASAがハッピョ~かぁ……」

 イブキが28日にNASAが発表した会見の様子を要約した記事を読みながら、そんな風に呟く。


「イブキ! イブキ!!」

 その横で月夜がまるで地球外知的生命体でも発見されたと聞いたような興奮状態でイブキの肩をバシバシっと叩く。


「いたたたたたたたた――かたおれちゃう! 月夜のバカちからでたたかれたらおれちゃうよっ!!」

 身をよじってその攻撃を躱そうとするイブキ。


「これ見てよっ! すっごくお得な話し」

 そう言って月夜が差し出しスマホ画面には――


「ピザのハイタツイン、ピザといっしょにうりあげまではいたつ?」


「そそ。お金をそのまま持ち歩くは無用心だと思ってピザ箱の中に入れてたんだって、そしたらそのまま配達――ピザと大金がお客さんの元へ」


「へェ〜……でもかえさないとダメでしょ? そのオカネは――それがなんでオトクなの?」


「それはね――そのお金を届けたくれたお礼に一年間ピザ無料パスをもらえたんだって! すっごいでしょ!! 1年間ピザ無料で食べほ~だい!!!」


「……いや、まいにちピザとか……ちょっと……」


「毎日Lサイズのピザが3000円として一月で9万3000円。一年で111万6千円になるんだぉ!!」

 うれしそうにそう計算する月夜を見ながら――「もし、月夜にそんなパスあげたら、きっと1ねんごにはそのおみせないだろ~なぁ~」と内心で呟くイブキだった。

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