あいす。

 いつものバス停にて――


「あ、あつちゅい……あ、アイス……ソフトクリ~ム……エアコンのきいたパソコンつきのへや……ゲ~ムがうまいカレシ……」


「なんかどんどん冷たい物から離れていってるケド……」

 バス停に寄りかかり手を団扇代わりにしてパタパタと顔に風を送る月夜がイブキの譫言のような呟きに律儀に応じる。


「それにアイスとソフトクリ~ムは同じ氷菓子ぜんぜん違うんだから! いい? アイスは作ってからマイナス30度で保管するから作り立てのミルクのクリ~ミ~感がなくなっちゃうケド――」


「そんなコトど~でもイイからアイスだして月夜」


「出していわれても……」


「つ、月夜はあつくないの?」

 ライフゲ~ジ残り1ミリ、×0状態、大破状態のイブキが絞り出すように言う。


「ウチはもっとツラいトコに行ってるから、こんなトコじゃ全然平気」


「う~……月夜になりたい……このあつさがやらわぐならイブキさん……月夜さんでもいい」


「もう暑さでなに言ってるかわかんない状態になってんのね」


「月夜さんになったらすっごいカゲキなミズギきてポロリとかして……」


「おまえはウチの身体でなにしようとしてんのよっ!!」

 バシっ! といい感じに腰のはいったカバンがイブキに直撃! そのままライフ0、テテッテッテテテテ、轟沈してしまうイブキ。


「また、そんな大げさな」

 と、言いつつ容赦なくバスに詰め込む月夜だった。

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