すめばみやこ?

 いつものバス停にて――


「住みやすい市町村ランキングで四年連続一位が千葉の印西市に決定――ふ〜ん……住めば都ってゆ〜しどこでもたいして変わんないと思うケドな……」

そう呟いて、『夏はアナゴが旬! この夏食べたいアナゴ料理』という記事に意識を向ける。


「ねぇ――」


「ん〜?」

さまざまなアナゴ料理を見ながら『アナゴはタレで決まんのよ』と洩らす月夜。


「にばんめは?」


「ん? なにが? アナゴがなにで決まるかの二つ目?」


「ちがうよっ! すみやすいトコ、ランキングのにばんめっ‼︎」


「愛知県の長久手だったかな?」

もうページを閉じてしまっているため思い出しながら答える月夜。


「おぉ! レ〜ルガントレインやトトロのいえがあるトコだね」


「リニモにサツキとメイの家ね。トトロの家って……イブキはないの? 住みやすい場所?」


「イブキさんはネットかんきょ〜ととのっててゲ〜ムできるんならカセ〜でもエウロパでのぜんぜんOKだよ!」


「ふ〜んウチもとくに拘りはないケド……」


「じゃ、ここは?」

そういってイブキは異国にある真っ白な三階建ての家の画像を見せる。


「あら? なかなかいいじゃない!」


「このイエね〜。さんねんもホ〜チされてんだけどさ、このストリ〜トビュ〜のスクショにクッキリとサンカイのマドにテがみえんだよね〜――」


「さっ――なしなし。やっぱし夏アナゴよね〜」


「……すめばミヤコじゃなかったの?」


「ウチは都よりアナゴのがいいモン」

少し青ざめながらそう言い切る月夜だった。

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