おねだり。

 いつものバス停にて――


「ねぇ――」

 いつも通りイブキが女子力UP系記事や『男が好きな~』『男性が好む~』といった如何わしい記事を読んでいると月夜が話しかけてきた。

「ん?」

「前から思ってんだけど、なんでそんなに彼氏ほしいの?」

「ほへ?」

 月夜の素朴な疑問にイブキが考え始める。

「ん~ん~ん~ん~――」

 スマホをポケットにしまい腕を組んで必死に考え始める。

「そんなに考えないとわかんないなら、とくに理由とかないんだ」

「だって、イブキさんたちはジョシコ~セ~なんだよ! セイシュンなんだよ」

「いや彼氏いなくても楽しい事できるじゃん。実際、毎週のように遊びに行ってるし――」

「そ~いうのじゃないんだよっ! リアジュ~になりたいんだよ!! イブキさんはっ!!!」

「リアルが充実するとネットゲとかできなくなるんじゃない?」

「うっ! …………じゃ、どっちもジュ~……。そ、それにオベント~とかつくったりしたいし……」

「ウチに作ってくれればいいじゃん」

「え~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」

 ものすっごいイヤそうな表情をしながら、

「メンドクサイ」

「そこまでイヤがるなよっ! ちょっと傷ついた!!」

「月夜だってほし~でしょ? カレシ」

「そ、そりゃ……憧れはするけど、誰でもいいってワケじゃ……」

「ほらほら~」

「だ、だから誰でもいいってワケじゃないから~!!」

「イブキさんだってだれでもイイわけじゃないモン!」

誰でもイイわけじゃないけどほしい。結局、ただのない物ねだりなだけだった。

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