えびふらい。

 いつものバス停にて――


「エビフライにかけるのはソ~スか醤油かで激論かぁ~」

 月夜がいつものグルメ系情報サイトでそんな記事を読んでいた。

「……う~ん……そんなのどっちでよくない?」

 イブキがダルそうなあ表情でワンテンポ遅れて応える。

「でも、ソ~ス派が5割以上を占めてるみたいよ」

「……はぁ……そなんだ……」

 明らかにいつもと違う様子のイブキだが月夜はもう慣れた様子で気にせずに続ける。

「醤油派は意外に少ないなぁ~1割ないよ」

「……そうなんだぁ……でもさぁ~……」

「ん?」

「エビフライって……なにもつけないのがいちばんよくない?」

「あ~――そういえばウチもなにもつけないわ」

「……ん……だよね」

 そこでバスがやってきた。


 び~――ぷっしゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ――


「あ!」

 乗り込む月夜の背後でイブキが声を上げる。

「どうした?」

「そういえば、イブキさんはときどきタルタルソ~スかけるかも」


 ぷしゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ――


 そう言った瞬間には二人の間を扉が仕切りゆっくり走り始めるバス。イブキはそれをボ~とした表情で見送る。

「秋のイブキはなぜかワンテンポ遅いのよねぇ~」

 月夜が小さくなっていくイブキの姿を見ながら呟いた。

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