◇454 -勧誘-
虹色に揺らめく出入口───空間魔法の前でわたしは3名の帰還を腕組みし、待った。
するとすぐに3名が現れる。
「よぉ! 待ってたぜ」
と、カンノンとの喧嘩の結果を聞く前にそう元気よく言い、相手の頭が切り替わる前にすぐに本題へ入る。
「後でわたしは楼華島へ行く、お前らも一緒にこいよ」
謎の妖怪......たぶん扇風機の妖怪
「エミリオ......流石に帰って即、それも何の説明もなしだと困るよ」
謎の妖怪 烈風はわたしの強引かつスピーディーな勧誘に対し、落ち着いた対応をしやがった。説明とか1回1回するのが面倒臭いから強引な勧誘を選んだというのに、困ったヤツだ。
「その話も聞きたいが、観音が化物になって徘徊している事もあるし大神族に相談が先かな」
「ではその報告は私が。烈風と螺梳はこの子の話を聞いてやるといい」
眼鏡の鬼がわたしの頭をポン、とたたき、療狸の元へ。多分わたしの方が圧倒的年上なのだが、まぁいい。
「楼華島へ行くぞ! 一緒に来いよ!」
「だからエミリオ......」
「冒険者には色々いるもんだと思ってたが、これは中々の我推し冒険者だな」
仕方ないのでわたしは簡単に説明をした。すると烈風と螺梳は少し考え、答えを出す。
「俺は別のチーム......ひぃたろさんの班がいいかも」
「俺は一緒に行こう、楼華島で確認したい事もある」
烈風、螺梳の順番で答えた。螺梳は確保したとして、烈風は何か考えたがある風だが......来てくれないとわたしが困る。
「ハロルドは何とかなるだろ。それより楼華島の方が絶対ヤバイだろ、れぷさんも一緒に来いよ」
「いや......療狸が絡んでるんだろ? それなら多分、俺はひぃたろさんの班に入った方が色々とスムーズな気がする」
何がスムーズなんだよ......こっちはヤバみ島でヤバみなモズとかそれ系を相手にしつつ夜楼華まで行かなきゃならねーんだぞ? 効率よく進むならエミリオを守れ作戦でヤバめなヤツと遭遇した場合、誰かが残ってわたしは進む おとり作戦がいいだろ絶対。
「楼華島にはあと2、3人が理想だぞ? 大勢で行けばそれだけ見つかりやすい。エミリオがさっき説明中に言ってた、最低限放置しても大丈夫そうなヤツ、なら龍組の傭兵辺りはどうだ? 鬼達も今回は別の班がいいと俺は思う」
「なんでよ? つえーヤツ沢山いた方いいだろ絶対」
螺梳の案は悪くない。が、鬼は欲しいしつえーヤツは沢山ほしい。しかし螺梳の憶測がわたしの仲間集めタイムを大幅に削る。
「恐らくだが、ひぃたろさん と プンプンさん? その2人は大神族から何らかの力を貰ってる。そしてこれは更に憶測だが、今はもう任務をスタートさせていると思うぞ?」
「は? 何の任務よ!?」
「これも更に憶測だが、京周辺の者達は京へ、それ以外の者は他の街に集める。京には大神族の療狸がいる。他の街には大神族から力を借りた2人だが、プンプンさんの方はシルキ民ならば言うことを聞くだろうな。なんせ伝説の魅狐様だし。問題はひぃたろさんだ。余所者の指示なんて鎖国民が聞くと思うか?」
自分の国を鎖国とか言っちゃう辺り、この妖怪ラスカルも中々な性格だ。が、確かにそうだ。
夜楼華という木ばかり見ていたが、毒が更に拡散すれば大惨事になる。どんな力を療狸から貰ったのか知らないが、現に京の人達は毒の影響を受けていない。まだ夜楼華が本気出してない微量毒だとしても、空間魔法の演算ではこの京が一番、楼華島に近い。結構時間経ってるしシルキは極小でも風がある大陸。微毒が届いていないとは思えない。
「.......それでれぷさんの他に鬼とかシルキ勢わハロルド隊に入れて説得する作戦か。その方がいいな、色々と」
わたし程ではないが、ハロルドも中々気が短い。そしてわたしとは違って怒るではなく、キレる、だ。グチグチうるせーシルキ民のクチに拳を捩じ込むくらいならやりそうだ。
と、なれば残るメンバーは龍組の傭兵が確かにベストだな。
「よし、れぷさんは療狸から聞いてハロルド隊行けよ。わたしが感知して飛ばしてもいいがだりぃ。ラスカルは準備出来たら宿屋な! わたし龍傭兵に声かけてみるわ」
ザ 強引。な作戦も2人のおかげで上手い具合になったので、わたしはすぐに他のメンバー候補である龍組傭兵の元へ急いだ。
◆
「───って事で、白蛇も一緒に来いよ!」
傭兵の白蛇を発見、即、勧誘。
「報酬は?」
「いくらほしい? ウンディーの女王に上手く言って金貰ってやるよ」
「言ってる事犯罪者だな」
「やってる事犯罪者じゃなきゃいーだろ」
「......金はいいから、前に話してた冒険者ってのを詳しく教えてくれ」
前言ってた......わたし冒険者の事なんて言ってたか? しかし話すくらいでOKなら余裕だ。わかんねー部分は適当に言っときゃいいし。
「オーケーオーケー、熟練の冒険者エミリオ様が色々教えてやるぜ」
「おう。それじゃ俺は準備するからまた後でな」
「準備って何すんの? みんな準備準備ってさ」
「他のヤツは知らねぇよ。俺はオロチとモズを殺る準備だ。楼華島で型落ち幻魔に会ったら俺が殺るから手出すなよ」
オロチとモズ......ヤバめな相手と戦う準備とかコイツもやっぱヤバめなヤツかよ。
「オーケーオーケー、オロチとモズは任せるぜ」
ま、これで楼華島で遭遇しくない相手の相手は決まったしOKだ。
次は───
◆
「───って事で、ニンジャも一緒に来いよ!」
「いいですよ」
ニコニコ笑顔で素早く答えたニンジャ。いい返事だ。
「おっし! んじゃ後で宿屋な!」
「はい」
ニコニコ笑顔のニンジャにそう告げ、わたしは妖怪クソネミ探しへ向かう事にした。
「楼華島......兎さんの魂魄もまだあるといいなぁ。もう一度だけでいいから、話したいなぁ......」
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