女の文学論(九)
面倒事に好んで係わる必要もない。
頃合いを計ったかのように酒と料理が運ばれてきた。
「いずれにしても、これは捨て置けませんわ」
王異は漢と魏の橋渡しをしなければならないという正義感に燃えていた。
「王異さん」
侍女たちがすっかり料理を運び終えてから、曹華が言った。
「お二人は夫婦の間柄はどうでしたか?」
「と、いうと?」
「そのう、痛かったんですか?」
王異の顔から表情が消えた。
誰か覗き見ていないか、部屋の出口を見た。
「……知りたいのですか?」
「ええ。通らなくてはならない道とはいえ、やはり怖いですもの」
「私も興味ありますわ」
清河長公主はそう言って唇を舐めた。
さすがに王異は考え込んだ。
が、意を決した。
「……あまり大声では言えませんからもっと近くに」
曹三姉妹への憐れみの感情が、女としての慎みに勝ったのである。
一同は王異の近くに集まった。まっさきに王異に近寄ったのは清河長公主だった。一方、やり切れないといった表情で仕方なく皆に調子を合わせたのは辛憲英だった。
劉協はというと、一刻とはやくこの場から去りたかった。
だが、そう思った矢先に清河長公主と目が合ってしまった。
「関飛さん。あなたはぜひこの場にいて話を聞いた方がいいと思うわ」
清河長公主は、劉協がどういう人間であるか曹節から聞いているはずである。
劉協はすっかり困った。
「それはどうでしょうか? こういう繊細な話題は男の私は場を外したほうが言いように思うんですが……」
劉協は曹節に目で助けを求める。
しかし、曹節は服の袖で涙をぬぐうと、
「それはここにいる皆様に判断していただいては……」
曖昧な返事をかえした。
一同の刺すような視線が劉協に集まった。
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