第34話 飛んで火にいるなんとやら
「ビールが無いぞ!」
一方、コチラはBBQの真っ最中のリッパ―御一行様。
海岸でどんちゃん騒ぎである。
追う者も、追われる者も今一つ緊張感が足りないようである。
終われる自覚が薄いせいか…持って産まれた資質なのか…追跡者の懐にフラフラと接近中のエドモンド。
『紅ショウガ』を持って、「今、会いに行きます」状態だ。
リッパ―からすれば棚から
リッパ―御一行に近づくにつれ、エドモンドは思っていたのだ。
(BBQに業務用紅ショウガは必要だったのか?)
よく考えれば、麺より多い量の紅ショウガの必要性は?
今更ながら、はしゃいで買ってしまったことを後悔しているエドモンド、地味に坂道がキツイのだ。
そんな、豆粒のように遠ざかるエドモンドを、微妙に心配しながら焼きそばをすするB・Bとオヤジ。
「大丈夫ですかね~」
「大丈夫じゃない?軍服じゃないし」
「軍人には見えないですな~確かに…」
「そうねー、着てても見えないもんね」
それから…15分後…遠くで銃声が鳴り響いたのである。
「ダメだったみたい…」
「そのようでやすな…」
「B・B援護に向かいますか?」
「いやぁ~どうだろう…間に合わないんじゃないかな~」
何やら、遠くから必死な叫び声が聴こえる。
「空耳とは言えないレベルになってきたわね…」
「銃声が近くなってきやしたねー」
「あの影は、99.999%の確率でマスターエドモンドです」
「必死ね…立漕ぎしてるもん」
「久しぶりに見やした…自転車の立漕ぎ」
「困ったものね~、こっちに向かってるわ…」
「そりゃそうでしょう、そこを責めたらダンナが可哀想ってやつですぜ」
「しょうがない…応戦準備!」
「HAL! ライフル!」
「了解、照準は私が、トリガーはお任せしますB・B」
「OK、OK」
「オヤジ! 焼きそばをタッパ―に回収! 鉄板は破棄」
「了解しやした」
「回収後、トラックに速やかに避難」
「いくわよー! まずはシューティング♪」
さすがHALの照準合わせである、バタッ…バタッ…とエドモンドに迫る兵士が倒れていく。
8人ほどHITしたところで、エドモンドが視認できる距離まで…速い…あっという間にB・Bの脇をママチャリが駆け抜けていく…そして後方で壮絶に転ぶ。
砂まみれで起き上がり
「オヤジ! 白雨を!」
「へっ?あぁ…刀ですね…ここに投げますよ」
肩で息をしながらも、刀を握り、呼吸を整える。
「さ~て…ここからは格闘ね」
B・Bの目の前には兵士10数名とリッパ―。
「おーおー全力で逃げるから、どんだけの仲間がいると思えば、ガキとオッサンって…ガッカリだよ…俺は…」
リッパ―が呆れた顔でエドモンドを見る。
「はぁ…はぁ…オエッ……バカが…コイツらは俺より遥かに強い…」
「アッシが?」
オヤジが鼻に人差し指を当てて驚く。
「お前じゃない…」
そうエドモンドが言った、コイツらの『ら』はHALである。
少し遅れて、
「どうだい元少尉殿、対オマエ用の部隊だ、足場の悪い砂浜じゃ鉄は切り裂けまい、え~?」
「それがどうした…HAL!」
「はい、マスター」
HALがエドモンドにライトセイバーレプリカを渡す。
「電池は入れ変えてあるな?」
「もちろんですマスター」
「じゃあ…アタシの相手はこっちなのか~」
B・Bの目が好戦的な光を宿し、ニターッと笑う。
「いくわよ~、Rock’n Rollー!!」
薄い闇夜にライトセイバーレプリカの青白い光が揺れる…プレート合金をダンボールみたいに切り裂くエドモンド。
飛び交う銃弾を余裕で避けつつ小さな金髪幼女が兵士を張り飛ばす。
焼きそばをタッパ―に手早く詰める。
鉄板を盾に使いながらトラックへ移動して身を隠す。
リッパ―が砂浜に首だけだして埋められたのは…実に3分ほど後の出来事であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます