11話

お風呂から出て髪を乾かしたらお兄ちゃんの部屋に行く


「はいるよー?」

返事も待たずドアを開ける


ガチャ


「ん?どした?りかが来るなんて珍しい!」


ベットの上で雑誌を読んでいたお兄ちゃんは起き上がってベッドの縁に座る

その横に私も座って

「安井 翔也って知ってる?」


私がそう聞くとお兄ちゃんは目を見開いて

「なに!?りか翔也が好きなの!?」

と私の両肩を掴んで聞いてきた


「違うよ!友達が好きなの!今日みんなでご飯食べたんだけどね、もしかしたら知ってるかなー?と思ってさ」


それを聞いたお兄ちゃんはほっとしたように肩から手を離す


「そりゃー知ってるよ、後輩だもん。でもあいつはやめとけ」


「なんで?」


急に真面目な顔をして話すお兄ちゃんを見て

一瞬安井くんは本当はヤバイ奴なんじゃないかとか考えてしまった


「翔也はさ、見ての通りイケメンで、頭も良くて、おまけにサッカーも上手いだろ?」


「うん」


「だからさ、モテるわけよ。あいつが今まで何人もの女と別れた理由わかる?」


「んー性格が相当悪いとか?」


他にも、実は浮気症とか、いろいろ思い浮かんだけどあえて言わないでおこう


「ノーノー」

お兄ちゃんが人差し指を左右に振る


「いじめだよ」


「いじめ??翔也くんが彼女をいじめるの?」


「違う違う、翔也の事を好きな女が嫉妬していじめるの」


「なにそれ、そんなん止めればいいじゃん!翔也くんの事が好きなら翔也くんが一言言えば辞めるでしょ?」


お兄ちゃんが首を左右に振る


「それがさ、皆んな翔也に嫌われてでも翔也に彼女ができる事を許さないわけよ」


「翔也くんに嫌われてもいいからいじめるって事?」


「そ!だからあいつと付き合おうなんて女は居なくなったってわけ」


「なにそれ、かわいそー!」


「まー高校卒業して、あの頭狂った女どもから離れさえすれば普通に恋できるだろーし。あと2年の辛抱だな」


なんて笑いながら言うお兄ちゃんには呆れた

少しは翔也くんの事心配しろよ!


「でも、友達も南高だしいじめは心配無くない?」


「いや、あの女達はやべーからな。他校だろうとどんな手を使っても嫌がらせするぞ」


「何それ〜そいつら本当頭狂ってるね」


北高にそんな女子がいると思うとゾッとした

頭いい人ってやっぱ変わってるんだなー


「じゃー友達に教えといてあげよ。嫌がらせされたら困るし」


「それがいい!」

笑いながら私の肩を組む


「やめてよ!」


手を振り払うと拗ねたように口を尖らせてベッドの端にいった


「めんどくさ。」


とりあえずもう聞きたい事も無いし部屋を出る


バタン


でもお兄ちゃんに聞いといて良かった


みぃこ安井くん狙いだし、麻里も安井くんと仲良いし、目つけられたら大変


とりあえず5人のグループでお兄ちゃんに聞いた事を話すと

みぃこは[ ショック〜]と言う一言と泣き顏のスタンプが大量送られてきた


みんなで話し合って、今日の合コンの話は5人の秘密って事になった


周りに広まって目つけられると困るからってことで

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