第14話◆ フリーランス向けオトクな節税制度まとめ なんだったらここだけ読んでください

 さて、『知らないだけで50万損するフリーランス向けお金の話』、これにて一応の一区切りとなります。


 もちろん、たとえば国民健康保険料の『減免』など、状況によっては知っておくべき制度などはまだたくさんあります。個人的には特に、扶養家族がいる場合の税金制度についてはもうちょっとまとめたいとも思うんですけどね。本エッセイ中でも機会がある度に触れてきましたが、国民健康保険料を始め、扶養家族の有無で大きく金額が変わる税金というのは少なくありません。また逆に、ちょびっと触れましたが『青色専従者控除』など、家族がいることで可能な節税制度というのもまたあったりしますし。


 ですが、制度の話ばかり延々続いても読むのが途中で嫌になりそうなものですし、そうなっては「制度は知らないだけで大損ですよ!」という本エッセイの主旨とも外れてしまいますので、ここで一区切りにしたいと思います。


 一応最後なので説明したことをざっとまとめておきます。

 もしかしたらこのまとめから読んでくださっている方もおられるかもしれません。どこか興味のある項目でもあったら、そこだけでも読み返してみてください。制度は知ってることに意味があり、知らないとまったく価値がありませんし。



● 実はやらないと大損する確定申告


 フリーランスの恒例イベント『確定申告』。

 なぜ自営業・フリーランスは確定申告をする必要があるのか?

 仮に年収300万として、確定申告をしない場合、20万余計に税金を納めることになります。その理由とは? ……といった辺りを詳しく解説しております。



● 知っておくべき25%という数値。フリーランスが国に納める税金は何%?


 フリーランスが支払う税金は色々ありますが、代表的なものが『所得税、住民税、国民健康保険料』の三つです。(もちろん他にもあるにはあるんですが)


 この三つの税金は支払うタイミングも結構バラつきがあるので、意外と三つ合わせたパーセンテージがどれぐらいになるかは気付きにくいです。では実際のところ三つを合わせて支払う税率は何%ぐらいになるでしょうか?



● 絶対に知っておきたい『経費・控除を一万円計上した場合の節税効果』


 自営業・フリーランスになれば経費として処理できるので、領収書を保管しておこう――。

 とはよく言われます。ですが、実際のところたとえば一万円の領収書があったとして、具体的にどれぐらいの節税効果があるかというお話です。



● 誰もが勧める青色申告特別控除。その効果と税理士さんの話


 確定申告には三つの申告形式があります。

 その中でも一番面倒な『青色申告複式簿記』という形式で期限内に確定申告すれば、65万の特別控除をもらえます。その節税効果は、単純計算で最低16万円以上! 数ある制度の中でも非常に有効な制度の一つです。


 でも青色申告って面倒そうじゃ?

 安心してください、大体の場合は特別控除による節税分で、税理士さんを雇ってもなお数万円のお小遣いが残ります――というお話です。



● 将来への備えと節税が同時にできる! 自営業・フリーランス向け退職金の話


 我々フリーランスにも任意で入れる退職金制度があります。

 退職金の積み立ては税金面で非常に優遇されており、毎月1000円であっても積み立て続ければ非常に大きな節税効果を発揮することをご存じでしょうか。(積み立て額にかかわらず、毎年40万の税金控除枠をもらえるため)


 ちなみに、退職金の積立は、節税分を利息として換算するとなんと年利最低15%というお化け投資に!



● 小規模企業共済と、退職金のリスクの話


 フリーランスでリスクが小さい退職金制度というと、実質選択肢は一つ、小規模企業共済しかありません。

 では小規模企業共済とは一体なにか? そして退職金に付きまとうリスクとは? ……といった辺りを詳しく解説しております。



● 知らないと30万損する、国民健康保険と文芸美術健康保険組合


 会社員でないフリーランスの場合、国民健康保険に加入することになります。ですがその保険料は決して安くなく、収入がちょっと増えれば簡単に最大の50万を請求される場合があります。


 ですが作家やクリエイターの場合、国民健康保険から『文芸美術健康保険』に切り替えることで、保険料を22万ほどの定額にすることができます。50万が22万になるとすれば、その節税効果は実に28万に!


 特に神戸・函館など、お住まいの地域によっては即座に文芸美術健康保険に切り替えた方がいい場合もあります。



● 2000円でA5和牛や高級果物も食べられるふるさと納税


 これは節税ではありません。ですが利用しないともったない制度筆頭。


 支払うべき住民税の一部を、お住まいの地域ではなく他の地域に支払うことで、お礼として食品などの特産品をもらえる『ふるさと納税』という制度があります。


 またふるさと納税には税制上の特典があり、適切な寄付限度額さえ知っていれば、ほぼノーリスク。2000円の自己負担でA5高級和牛を買うのもわりと簡単です。制度の利用も年々簡単になってきており、今ではクレジットカードでウェブ上から決済可能です。



● プロになる前でも後でも知らないだけで大損する平均課税


 日本の制度では、一昨年・去年・今年のうち、今年だけ極端に年収(正確には所得)が多くなった場合、納めるべき所得税が極端に跳ね上がってしまいます。


 ですが作家や漫画家など一部職業の場合、『平均課税制度』を適用できれば、支払うべき所得税を一昨年・去年の平均値に準じて大きく減らすことができます。適用した方がトクな場合のみ適用すればいい、知らないだけで損する制度筆頭です。


 またこの性質上、たとえば作家デビュー一年目などに大きな効果を発揮することがあります。(一昨年、去年の変動所得は0だから!)



● 正しく使えば多くのリスクに備えられる上に節税効果もある任意保険


 個人が任意で入る保険は、決して「万一に備えるため」だけではありません。

 中には保険料が掛け捨てではない、生命保険の性質を持ちつつ資産形成が可能なものもありますし、しかも支払った保険料の一部は控除として計上できるので税金を安くすることもできます。では実際、任意保険による節税効果はどれぐらいでしょうか?


 とはいえ任意保険は結局のところ自己責任度100%で決して安易にオススメはできません。ですが、適切なタイミングで適切な保険を選択することができれば、収入・保障の両面で大きな武器になってくれます。





 余談ながら、日本ではこんな話をよく聞きます。


「年収なんて、1000万越えたらすぐ税金で半分持って行かれるんだろ?」


 合ってなくはない話です。たとえば、本エッセイで何度も転載した平成27年の所得税率を抜粋してみましょう。


課税される所得金額      税率  控除額

195万円以下          5%  0

195万円を超え 330万円以下  10%  97,500

330万円を超え 695万円以下  20%  427,500

695万円を超え 900万円以下  23%  636,000

900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000


 パーセンテージだけ見れば、1000万の所得税率は33%。ここに住民税10%が加わり、フリーランスであれば国保の支払い義務も加わるわけです。


 国保は8%ぐらいですが、上限が50万ぐらいですので年収1000万だとすれば5%。つまり所得税33%、住民税10%合わせて48%。ここからさらに国民年金、人によっては自動車税なども払うわけですから、50%取られると言いたくなる気持ちは分かります。


 ですが、本エッセイで解説した通り、実際には年収から経費・控除を引いた分から税金が引かれます。そこで、本エッセイで紹介したような制度を適用し、適切な控除を行ったとしましょう。


・基礎控除38万(住民税については33万)

・青色申告特別控除65万

・小規模企業共済への積み立て84万

・保険料控除を全部使用で12万(住民税については7万)


 控除分だけで、ほぼ200万円分できます。

 この場合年収1000万として、実際の所得税は120万4000円になります。年収から見たパーセンテージは12%ぐらいですね。


(余談ながら、もし収入のほとんどが変動所得、つまり原稿料や印税であり、かつ去年・一昨年の平均所得が今年より下回っていれば平均課税が使えます。もし仮に去年・一昨年の年収が300万・経費控除で110万あった場合、税率をほぼ5%で計算できるので所得税は50万以下にまで縮まります)


 住民税は10%固定ですが、上に挙げた控除は住民税にも適用可能ですから、80万ぐらいにまで抑えられます。また、国保は文美への切り替えができれば、50万→22万に。


 つまり年収1000万だったとしても、取られる税金は120万+80万+22万=222万ぐらい。パーセンテージで見れば、22%ぐらいです。


 付け加えるなら、この計算には経費を一切加えてません。交通費・資料代・家賃の一部など経費の適切な計上を行えば、どうやったって年収の10%ぐらいは経費計上が可能になると思います。支払う税金は多分200万を余裕で下回るでしょう。


 というわけで。年収1000万であっても、必ずしも50%持って行かれるわけではありません。適切な制度さえ適用すれば、20%ぐらいに収められるわけですね。


 なぜこんなに税金が安くなるんでしょうか? それは我々自営業・フリーランスが非常に不安定な職だからです。いつ仕事がなくなるか、いつ収入が上がるか減るかも分かりません。だから国も色んな制度で多少なりとも安定できるようにしてくれてるわけです。


 実際、これまでに挙げた制度は、一定までの年収にはかなりの節税効果を発揮してくれるわけですが、年収ウン千万とか極端に多い場合はパーセンテージで見ると大した節税効果になりません。


 ただ問題は、それら制度のことを知る機会がないということです。

 学校でも教えてくれませんし、出版社も教えてくれません。


 別に誰かが意地悪してるわけじゃありません。生徒がみんな自営業になるわけじゃありませんから、義務教育で教えるわけにはいかないんでしょう。先生や出版社の編集さんだって、自営業ではありませんから知る機会がなく教えようがないんです。


 だからといってなにもしないと、日本の税金は確かに高いです。(外国の場合もそうなのかもしれませんが)

 ですが適切な制度の適用を行えば、日本の税金はかなり安くなることも間違いありません。できれば必要になる前に、必要な知識を知っておきましょう。それが結局あなたのためにも国のためにもなりますし。


 というわけで、知らないだけで50万損するフリーランス向けお金の話でした。

 また機会があれば、どこかでお会いできれば幸いです。

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物書きをやっております師走トオルと申します。 主な著作: 『タクティカル・ジャッジメント』 『火の国、風の国物語』 『僕と彼女のゲーム戦争』 『現代日本にやってきたセガの女神にありがちなこと』 『無…もっと見る

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